世界を走れ、新幹線

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 新幹線が開業して10月1日で、50周年を迎えた。東京五輪の開幕に合わせたこの国家プロジェクトは、戦後復興の繁栄と、高度経済成長期の日本を象徴するもので、いつまでも語り継いでほしい。
 当初は東京―新大阪だった。その後、路線網を着実に広げ、今では青森から鹿児島そして、来年は北陸新幹線が延伸、再来年には北海道にまで伸び、まさに列島を貫こうとしている。
 全国各地を駆け抜ける勇姿が、数々の写真に収められている。私が好きなのは、富士山を背景に、前景の満開の桜に脇目も振らず快走するショットだ。まさに日本を象徴する3代表が、1枚に凝縮されていて、日本観光のPRの時に、ポスターでしばしば目にするのがうなずける。
 新幹線の最大の特徴は、何といっても時速270キロに達するハイスピード。初めて乗った5歳の頃を思い出す。車窓から眺める景色は、歩く人や家やビル、電柱などが、飛ぶように流れて行き驚いた。さらに、日本ならではの時間の正確さ、乗り心地の良さに加えて、忘れてならないのが、乗客の死傷事故ゼロという安全性だ。絶大の信頼を得て、延べ56億人が利用し、総走行距離は20億キロ、地球5万周に相当するそうだ。だが、これらの業績は、国内に限ったことで、ネットワークが充実した今、日本が誇る交通システムを世界に売り込まなければならない。
 台湾は、日本の高速鉄道の優れた性能を認めて買ってくれ、元気に走り回っている。米国ではカリフォルニア(ロサンゼルス、サンフランシスコ)、マイアミ、南米のブラジル、アジアはインド、タイ、マレーシア・クアラルンプール―シンガポール間などで需要がある。受注は日本の他、フランス、ドイツ、イタリア、中国が狙っていて、どれも強敵という。
 このたびは、50歳おめでとう、半世紀の活躍ありがとうと言いたい。でも、まだまだ頑張ってもらわねばならない。次の大きな節目の年は、開業60年だ。国内だけにこだわらず、世界に広めた業績とともに、人間で言えば還暦祝いをしたい。各国で人々を乗せて走るためには、これからが勝負。世界を走れ、新幹線。【永田 潤】

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