普段着の国際人

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 オレンジカウンティーのアーバイン市では、毎年「アーバインビレッジ、グローバルフェスティバル」を開く。今年の9月27日で13年目となった。その名のごとく、参加国50カ国以上がテントを張り、さまざまに工夫して自国の文化、食、宗教の紹介に努める。各国のテントを覗けば、居ながらにして世界旅行が楽しめる。展示品を眺め、会話する。民族衣装に身を包んだ外見は異なっていても、共通する部分がたくさんあることを知る、素晴らしいイベントだ。
 広大な公園に設置された三舞台では、民族舞踊や音楽など、100以上のエンターテインメントが繰り広げられ、観客動員数は2万を下らない。
 日本テントもユカタ姿の青年男女が、折り紙やけん玉遊びを観衆に教え、盆踊りを披露しと忙しい。秋空の下、大きなこいのぼりを背景に、ユカタ姿はことのほか涼しげで、人目を引く。
 アーバイン市は住宅事情や学校環境が良いので、各国移民が集中している。日本人駐在員も多数がここを新住所にする。異文化に理解のある米国住民が多く、外国人が溶け込みやすいからだ。しかし、ここに至るまでには、先人のたゆまぬ努力があったことを忘れてはなるまい。
 15年前、自国文化紹介の必要性を感じた住山弘氏が働きかけ、日本を含む4カ国で始めた。たったの4カ国である。911で、参加国が一気に増えた。中近東の家庭の子供たちが学校でいじめにあったからだ。「自分たちはテロリストではない」これを伝えなければ。他の国々も「他人事ではない」と賛同し、とうとう市が主催し始めた。数人の草の根運動が次第に多くの人を動かしたのだ。
 私の所属する日系混声合唱団、OCFCも日本の民謡を披露して4年目になる。音楽監督の竹下圭子氏は「どんな所で歌っていても、誰が聞いていても、いなくても、最良の演奏をすること」と説く。
 慰安婦像設置問題で、ギクシャクしている今、私たちにできることは、研さんを積んだ歌声を届けること。日本人としての誇りを胸に、よき隣人でありたい、普段着の国際人でありたいと願いながら。【萩野千鶴子】

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