最後の2分

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 わが家の長男がハイスクールの時にアメフトをしており、大きな大会の決勝戦まで進んでいくのを目の当たりにしたせいか、次男も高校に入るとすぐにアメフトを始め、その魅力に取りつかれました。子供の頃から決してスポーツを進んでする子ではなく甘えん坊だった次男が、頑丈なショルダーパットの上にユニホームを着ると、日本人からごついアメリカンに様変わりします。シニアイヤーになっても、毎日のようにトレーニングに汗をかいていました。
 ところがトーナメントがはじまる直前の練習中にけがをしてしまい、とてもゲームに出られる状態ではなくなりました。4年間ずっと練習を続けていたのに最後の年の試合に出られないことを、本人が一番悔しい気持ちで味わっていたのでしょうが、次男はそれでも懸命にリハビリをしながら練習を続けていました。
 次男の高校は接戦を勝ち抜いたことでチームは盛り上がっており、勝ち上がってきました。敗戦は高校最後の試合を意味します。私は海外で観戦できなかったので、妻からの実況中継メールに、つい涙してしまいました。
 「強豪チームとの、しかもアウェイでの試合でしたが、奇跡が起こる事を信じて一生懸命応援しました。でも、とうとう今夜が最後の試合になってしまいました。14対45…最後の最後、時計はすでに2分を切るという時に、突然次男がコーチに呼ばれ、グラウンドに出て行きました。そして間もなく試合終了となり、その瞬間を迎えてしまいました。
 次男に、全ての選手たちに、そして何より最後のコーチの思いやりに感謝しながら、涙が溢れて、溢れて仕方がありませんでした。長男の時からずっと、この時期は楽しみにしていたわが家の恒例行事でした。今は、寂しく切ない思いだけが残ります。帰り道、フリーウエーのところから、ディズニーランドの花火が見えました。まるで今シーズンのフェアウェルをしてくれるかのように」
 見ることができなかった最後の2分でしたが、次男の成長とアメリカの温情を受け取る忘れることのできない貴重な2分になりました。【朝倉巨瑞】

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