草の根外交のパワー

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 当地にインターナショナル・ビジターズ・カウンシルという国際交流団体がある。米国政府が招待する各国の中堅リーダーたちが南加を訪問する際に、訪問先の手配やホームステイなどのアレンジを行なっている。会員たちが来訪者を夕食に招待したり、地元団体との交流会を催すこともある。国土の広いアメリカでは、主要都市にこうした受け入れ団体があって、市民外交を展開している。国務省のプログラムで訪米した日本人の中には、若き日の細川元総理や大江健三郎氏なども含まれており、若手のうちから知米派が育てられている。
 先日、この団体のガラ・ディナーがLA市内で行なわれた。長年の協力団体として表彰されたサマリヤ人病院のアンディ・リーカ会長があいさつの中で披露したエピソードが特に印象的だった。この病院では、ロシアからの研修団を受け入れたことがあった。彼らはLAでホームステイしながら研修を受けたのだが、いよいよアメリカを去る前日、その中の一人がリーカ会長に話したそうだ。「僕は、長い間、アメリカが大嫌いだった。母国で聞いていたのは、アメリカ人は自分勝手で冷たく鼻持ちならないということだった。でも、LAで会ったアメリカの人たちは違っていた。ホスト・ファミリーは心づくしの手料理でもてなしてくれ、夜は僕がよく眠れるよう、寝室を僕に譲り、自分はソファで寝てくれた。心優しく温かで、それまで僕が描いていたアメリカ人像とはかけ離れたものだった。アメリカのことが好きになって僕は帰ります」
 「おもてなし」は日本のお家芸だと思っていたが、日本だけの専売特許ではないことにあらためて気が付いた。日本とアメリカでは、おもてなしの心遣いも方法も異なる。特にロサンゼルス流はカジュアルで異文化を気楽に受け入れる雰囲気がある。それが移民の国アメリカの良いところでもある。日本と流儀は異なりこそすれ、来訪者を筒一杯の気持ちでもてなす気持ちに変わりはない。その結果、客人たちは、アメリカを前よりも好きになっておのおのの国に帰って行くのだ。そこに草の根交流のパワーがある。市民外交の尊さを感じた。【海部優子】

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