皇居拝謁の記

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 昨秋11月東京、受勲者多数と共に皇居での天皇拝謁に参列した。場所は時々報道で見る壮大で立派な宮殿の春秋の間。横長前後数列に整列し僕はたまたま最前列だった。伴侶たちは間を置き後方同じく横長に前後数列。シーンと待つと天皇が前後に侍従を置き静かに到着し中央の壇上へ。全員が一礼。僕たちの代表が前に出て短い謝辞を読む。次は天皇の辞。内容はおめでとうの祝福と皆が夫々国に貢献してくれて有難うの感謝、さらに今後も各々体を大切に歩むよう願っていますというもの。
 それから天皇は皆の周囲から受勲者と伴侶群の間をゆっくりと歩いた。天皇が近づくと皆一礼。天皇を見ていて感じ入ったのはただ左右を見ながら歩くというのでなく、上体を傾け列の奥の奥まで覗き込むように皆を見ようと目線を入れてゆっくり歩まれたこと。前列の表面だけを軽く見て歩くのとは全く違う。
 最後は車椅子の受勲者の列を天皇はいかがですか、お大事にと語りかけ止まりまた歩む。終りの所でやっと背を戻してまたゆっくりと退出された。僕の角度からは入室、退出時共に廊下の天皇の歩みがしばし見られたが非常にゆっくりの足どりだった。
 天皇は81歳。こういう公務が皇室は1年に300日近いこともあるそうだ。いい加減に出来ることではなく疲れると思うが天皇の行動は極めて丁寧で誠実味に溢れていた。
 今上天皇は国民の評判が良い。特に東日本大震災のあと被災地各所を何度も訪れ被災者を励まし続けた。また大戦の南方激戦地も訪れ慰霊して来た。国民の好感度は高い。
 さて天皇が退出された後もわれわれは整列のまま静かに立っていた。その時何人かの受勲者が鼻をすするのが後方から聞こえた。高齢の人が多く勲章と拝謁の栄に浴し感激したろうし涙も出ようと想像した。
 実はその時、違う理由だが僕の両眼も潤んだ。それはふと「日本の国のかたち」ということを思ったから。説明が難しいが、現代日本の目に見えない形に自分たちが包まれている、そんな感覚だった気がする。勲章制度や皇室制度の論議を越えた所の感覚だった。人々の自然な求心力が造っている日本の国と呼べる形があるなら、それは美しい力として日本を末永く栄えさせてほしいと思った。【半田俊夫】

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