家族の歴史

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 テレビ番組「ファミリーヒストリー」がおもしろい。
 著名人の家族の歴史を本人に代わって取材したドキュメンタリー。どういう過去が目の前に映し出されるか分からないご当人は、ドキドキしながら、試写室の特別席でそれを見守るという趣向である。
 はじめて知る先祖のドラマに強面の目にも涙が光る。父や母の若い日の奮闘物語に、感想のコメントも途切れ勝ちになり、失礼! と顔を覆ってしまう一幕も。
 それにしても、よく調べ出せるものだと、感心させられる。戦国時代まで遡ると、武田信玄に仕えた武将であったり、博物館のセピア色の「煙草屋株帳」で4代前の江戸時代の先祖の名前を探し出したり、鬼刑事といわれた曾祖父が解決した難事件が当時の新聞で明らかになったりする。「記録」ということの重々しさを実感させられる。聞き込みも大変なものだっただろう。
 貴公子のようで穏やかな物腰の榎木孝明。祖父が金山に関係があったとは、何となく聞いていたという。鹿児島には実際に祖父によって掘られた穴があちこちに見られ、記録も残っているそうだ。でも、金は出ず…。ずっと、後年になってその何十メートルも地下から金が発掘されたことが明かされる。もう少し掘り進んでいたら…と番組は続ける。
 感動の中で皆がみな、もっと親父、おふくろにいろいろ聞いておけばよかった…と述懐する(親が存命であっても今では高齢だ)。
 いつの頃だったか遠い昔、私の問いかけに母が家系図を書いてくれたことがあった。が、名前をつなぐ線が途中で破綻して大笑いした覚えがある。「若い頃、ロシアの捕虜と話をしたことがある」とも聞いたが、それがどういうことだったのか。断片的にいろいろ聞いてはいても、突き詰めて知ろうとまではしなかった——若い時は。皆、そんなものかも知れない。
 4代前は無理だとしても、機会を見つけて、祖父母のことなど聞いておく(話しておく)のも必要かもしれない。それは後世に続いていくことだから。
 近頃話題の夫婦別姓の問題。先祖を辿ることが難しくなるのではないかしら。生まれた子供の姓はどうなるのだろうか。それが気になる。【中島千絵】

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