日米合作の注目のミステリー:パサデナなど12都市で公開へ

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長編映画「リノから来た男」

映画で恋に落ちる北村一輝(左)と藤谷文子

映画で恋に落ちる北村一輝(左)と藤谷文子

  昨年のロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞した「Man From Reno ―リノから来た男」(デイブ・ボイル監督)が27日から4月初旬にかけて、米国12都市、南カリフォルニアでは、パサデナ、ウエストロサンゼルス、トーレンス、アーバインの4都市で公開される。日米合作の長編映画の作品は、ヒロインを米国を拠点に活動する藤谷文子、謎の男を日本の映画やテレビドラマに出演する北村一輝が演じる今春注目のサスペンスミステリーだ。
 作品は、サンフランシスコとロサンゼルスで撮影され、デビューから数々の米国映画祭で賞を受賞した監督、デイブ・ボイルが演出。
 映画の上映会場と日程などの詳細は、ウエブサイト―
 www.manfromrenomovie.com

あらすじ
 サンフランシスコの南に位置する小さな街から始まる。ポール・デル・モラル保安官が自宅までの霧の深い夜道の運転中に、誤って歩行者をはねてしまった。この歩行者の男は事故の取り調べが始まる前に、何の跡形もなく病院から姿を消してしまった。

謎の日本人の男スズキ・アキラ役の北村一輝

謎の日本人の男スズキ・アキラ役の北村一輝

 その一方で、日本人の人気ミステリー作家アカホリ・アキは、「タカベ警部」シリーズの最新作の発売記念サイン会ツアーから逃れるため突如、サンフランシスコへ1人旅に出る。孤独と解放を感じながらアキは、同じホテルに宿泊するリノから来たと思われる謎めいた日本人と恋に落ちる。
 アキのその新たな恋人、スズキ・アキラはカリスマ的魅力の持ち主で、優しくクールであったが、翌日、自身のスーツケースと不可解な痕跡を残してホテルから突然姿をくらませる。その後、湖に沈められた遺体が発見されたことにより、事態はさらに複雑さを増す。デル・モラル保安官とアキがやがて出会い、そこから、2つの事件の関連性に気づくが、ますます事件は謎に包まれ難解を極める。真実を追求するアキの推理と冒険はやがて、「リノから来た男」と思われるスズキ・アキラの恐ろしい真相を知ることとなる。

日米映画を知るボイル監督
「ユニークな2文化融合」

 ボイル監督は、2009年に発表した「White on Rice」で在米日系人を笑いに包んだことで知られている。今回も、脚本も書く「二足のわらじ」で完成させた。日本語を流暢に話し、日米両国の文化と映画を知る米映画界では貴重な存在。今回の「リノから来た男」について、「日米の文化を描いた、完全にバイリンガルのミステリーは本作しかない。すごくユニークで独特の味がある」と強調する。
 文化的には、ストーリーは、米国の影響の方がやや強く、レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットなどの有名な米国人作家が書くようなストーリーになったので「味的にはアメリカンテイストの方が濃い。ただ、日本を代表するミステリー作家、松本清張のようなエッセンスも盛り込んでいる」と説明する。登場人物は、「日本人のキャラクターは、松本清張や高木彬光の小説に出てくるのようなキャラクターにして、アメリカ人のキャラクターはアメリカの小説に出てくるようなキャラクターになっている。ストーリーは、両方をミックスしていて、そのミックスがこの映画の魅力」
 脚本は英語で書き、そのまま日本語に訳しても直訳になるため、翻訳のプロセスが困難だったという。日本語訳は藤谷や北村らの助言を取り入れた。藤谷と北村が何度も読み直して仕上げた。リハーサルで、セリフを変えることもあったという。
 藤谷の役柄について監督は「ステレオタイプの日本人ではなく、個性を出した、リアルな人物として描きたかった。ただ、言葉と文化が違うのではなく、ディテールを描きたかった」。映画全般については「メッセージムービーではなくて、観客に恐がって、楽しんでもらえる映画にした。日本とアメリカの両方の文化が描かれているけど、それがメインではない」
 日米の文化とミステリーという2つの要素を盛り込んだことは「難しかった。書くのに結構時間がかかった。1年間ぐらい。ミステリーの話は、1つのことを変えれば、全部が変わり、展開も変わる。細かい点の変更でさえも、全部最初から書き直さなければならないことがある。でもそれは、意外と楽しかった」
 「椅子から乗り出して『次は何が出て来るんだろう』と思いながら見てほしい。「本当にそういう映画になっている。予測がつかない、スピードも速くはない。暴力映画ではないし、どちらかというとクラシックの40年代の映画のペースの作品。サスペンスを凄くよく感じてもらえるはず」


ミステリー初挑戦の藤谷
「ディテールを見てほしい」

 藤谷は撮影を振り返り「日本語と英語をしゃべりながら、日本人とアメリカ人の役者と話ができるのは、なかなかないことなので、すごく恵まれた。ミステリーは初挑戦だったので楽しかった」と話す。日本語を訳したセリフについては「英語だとうまくいくのに、日本語にするとうまくいかない時などは『どうする?』などと話し合い、いい経験になった」

ミステリー初挑戦の藤谷文子

ミステリー初挑戦の藤谷文子

 作品は、日本の要素が色濃く出るが「忍者や芸者が出てくるのではなく、登場人物一人ひとりが実にリアル。現在のサンフランシスコに住んでいる日本人が出てきて、とてもリアルです。だからこそ、そのミックスカルチャーが面白い。大きなスクリーンで見れば見るほど、すごくいろんなディテールが見えるので、お勧め」
 北村との共演については「北村さんは、芝居や映画に対して愛情が深くて、情熱的だった。一日中、徹底的に『そのシーンが良くなるように』ということを考えていて尊敬できた。人としても普段は面白く、役柄と普段の性格のコントラスが付いていて面白かった」と語った。
 藤谷は、ハリウッド俳優のスティーブン・セガールを父に持つ。セガールとの共演は、セガールがカメオ共演した1回で、1シーンだけだったという。父からのアドバイスは「ジャンルが違うので、難しいのでは」と話し、「アクションでも、おもしろければ、どんな映画でもチャンスがあれば出たい」と意欲を示す。「父にこの映画を見に来るように頼みます」

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