映画界のマイノリティー

0

 「彼らが残した作品は私たちに笑いと涙、勇気と感動を与えてくれました。才能に溢れた彼らは、唯一無二の存在です」
 オスカー女優メリル・ストリープはステージに登場するとこう話し始めた。これは先月23日に行われたアカデミー賞授賞式で、その1年に亡くなった映画人の功績をたたえ追悼する「In Memoriam」というコーナーでの一幕。
 ロビン・ウイリアムズ、ローレン・バコール、ジェームズ・ガーナー。次々と名前が読み上げられる中、2人の日系人の名前があがった。俳優ジェームズ繁田とアニメーターのジミー・ムラカミ(村上輝明)だ。
 ジェームズ繁田はハワイ州オアフ島生まれの日系3世。ロサンゼルス・リトル東京を舞台に、繁田演じる日系人刑事と白人女性の異人種間の恋愛を描いた「クリムゾン・キモノ」(59年)で映画デビューを果たした。
 当時、白人女性の相手役は必ず白人男性だった時代、繁田は初めて白人女性の相手役を演じたアジア系俳優として、ハリウッド映画史に今もその名が語り継がれている。
 ジミー・ムラカミはカリフォルニア州サンノゼ生まれの日系人。「The Magic Pear Tree」(68年)で第41回アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされた。
 今年のアカデミー賞ではノミネートされた俳優陣にマイノリティーがいなかったことから「白人色が強い。女性、ヒスパニック、黒人が見られない」と公民権団体などから批判が相次いだ。LAタイムズ紙が2012年に行った調査によると、映画芸術科学アカデミー会員約6千人のうち77%を男性が占め、白人が94%、黒人は2%、ヒスパニックは2%以下だという。
 米人口の40%をマイノリティーが占めている今ですらこうなのだ。マイノリティーへの風当たりが強かった時代に米映画界で活躍した日系人の功績ははかりしれない。
 授賞式で外国語映画賞のプレゼンターの言葉が心に引っ掛かった。「国境、文化、宗教、人種。私たちを隔てるこうしたものは映画館の中では溶けて消えてしまうのです」本当にそうであってほしいと心から思った。【吉田純子】

Share.

Leave A Reply