球春を迎えて…

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 子どものころの、空き地で楽しんだ「三角ベース」野球は、たいていの男の子が体験した懐かしい思い出。今の子どもたちは戸外で遊ぶよりも、コンピューター・ゲームやスマホに夢中。スポーツ好きな子がいても、野球よりも手軽に遊べるサッカーに興じる子のほうが多い。
 そこで今回は、あえて野球にまつわる話—。
 いよいよ春爛漫、球春だ。日米でプロ野球開幕の時。個人的には、いちばん注目していた選手は大リーグのダルビッシュ投手。しかし、右肘靭帯の修復手術を受けて、今シーズンの登板がなくなった。とても残念、無念。
 これで約1000万ドル(約11億9000万円)といわれる今シーズンの年棒はもらえなくなるのだろうか、と他人事ながら気になる。
 情報筋によると、契約は細部にわたり決められていて、たとえ1球も投げなくても今年の取り分は全額保証されるそうだから安心、というか、うらやましい気もする。まあ、ダルビッシュにはそれだけの価値があるということ。
 一方で、球団側もしっかり保険に入っていて、年棒の80%ぐらいはカバーされるという。契約と保険で動いているようなアメリカ社会の一端が、こんなことからもうかがえる。
 もう一つの話題は、日本から。ファウルボールが直撃して右目を失明した30代の女性に対し、札幌地裁が先週、球団などに約4190万円の支払いを命じたニュース。判決は、内野席の防護ネットがないために観客の安全が損なわれた、としている。
 アメリカの球場で防護ネットがあるのはバックネットだけで、野球観戦という臨場感を出す考え方が主流。観客はグラブ持参で、ファウルボールを待ち構えている光景はおなじみだ。しかし、石のように固いライナー性打球が顔面に当たったら、大けがになることは容易に想像できる。
 観戦チケットの裏に、細かい注意書きがあるものの、野球観戦に不慣れな子女もいることだし、「自己責任で観戦しろ」では済まされないケースもあるのではないだろうか。観客に対し、常にバッターボックスに立っているような緊張感を強いるのは、見当違いに思える。【石原 嵩】

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