ロサンゼルス・ダウンタウンのスキッドロウ地区で1日、男性がロサンゼルス市警察(LAPD)の警官に撃たれ死亡する事件が発生した。現場にいた目撃者がその一部始終を携帯電話の録画機能で捉えており、動画はインターネット上に投稿された。

 事件は同日正午頃、スキッドロウ地区にあるホームレス緊急一時宿泊施設「ユニオン・レスキュー・ミッション」(545 S. San Pedro St)前の歩道で発生。動画には、6人の警官が写っており、警官が男性を取り押さえようとしている様子が写し出されている。男性は激しく抵抗し警官ともみ合いになった末、「銃を捨てろ」と叫ぶ声がした直後、銃声が5発響いた。

 警官のうち2人は、警官が落とした警棒を取ろうとした女性を取り押さえている。
 動画は投稿から7時間で6百万回以上再生された。
 LAPDのアンドリュー・スミス司令官によると、強盗の通報を受け現場に駆けつけた警官が、この男性に事情を聞こうとしたところ、男性が暴れ出し激しく抵抗。スタンガンを使用して男性の身柄を拘束しようとしたが効果がなく、男性と警官は取っ組み合いになった。その後、警官2人と、巡査部長1人が発砲したという。
 ロサンゼルス市消防局によると、男性はその場で死亡。現場に駆けつけた警官のうち少なくともひとりはボディーカメラを装着していたという。
 現在までのところ、死亡した男性が銃などの武器を所持していたかどうかは不明。
 LAPDは死亡した男性の身元などは公表していない。今後、動画などを参考に、調査を進めていくとしている。
 目撃者のホセ・ギルさん(38)は、銃声が鳴り響く前「彼が俺の銃をとった」という叫び声を聞いたという。
 同じく現場にいたデニス・ホーンさん(29)は、警官が現場に到着する前、男性はテントの中で誰かと喧嘩をしていたと話している。
 LAPDは現時点で男性がホームレスだったかどうかは不明としているが、目撃者の話によると、男性は4、5カ月前からスキッドロウの路上にテントを張って生活し始め、「アフリカ」というあだ名で呼ばれていたという。
 現場付近のアパートに住むイナ・マーフィーさんによると、男性は10年ほど精神病患者の治療施設で過ごし、最近退院したと話していたという。
 スキッドロウ地区には約1700人の路上生活者がおり、歩道にテントを張り生活する人が後を絶たない。精神病や薬物やアルコール中毒などで苦しむ人々も多く、こうした人々のための支援施設やシェルターが数多く点在する。
 ロサンゼルスタイムズ紙によると、ロサンゼルス・ダウンタウンで警官が関わる死亡事件は2000年からこれまでに12件報告されている。

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