よりどころ

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 前回の拙文に対して、読者の方から「日本人も日系人も変わったと思う」という意見を賜った。古き良き時代の助け合い、信頼しあった日系社会ではなくなってきているというのだ。
 異国での生活に必死だったとき、余裕があったとは思えないが、それでも仲間を大切に思う気持ちがあったということだろう。コミュニティーを形成し、支えあっていた。ソーテルジャパンタウンの誕生のニュースは、そういう頃のことを伝えるいい機会になると、うれしくなった。日系社会の基を築いた庭園業を営む人たちも多かったと聞く。伝える場になってほしい。
 戦後も70年になり、戦後の移民、新一世も高齢になっている。そして、その中には、身寄りのない人も結構いる。しかも、日本の身内と連絡を取り合っていない人たちもいる。
 後からきた者として、何か手伝えることはないかと、走り回っている日々。言葉の壁、規則や仕組みの違い、戸惑うことばかりだ。
 でも、この経験は、先人の苦労と重なるところもあるのでは、とも思える。
 時代は変わって、日系人や日系社会に関わらなくても、自分の力だけで何でもできる、という人たちが多くなっていると思う。旅行で来る人たちも、自分でインターネットでホテルを取る。全く初めて来る人は、ガイドブックのLA知識で、料金の安いホテルを取る。その地域の事情など考えてもいない。日本での安いホテルと同じに考える危うさを心配する。STを通りではなく駅と解釈し、日本の便利な鉄道感覚を持ち込んでいる。万事がそんな感覚の人たちが、先人に思いを馳せるなどないかもしれない。でも、日本人だと言ったら、タクシーの運転手に連れてこられた、というリトル東京で、言葉が通じるところはありがたいと、ほっとした人たちが「どうしてこんな場所があるのか?」と思ってくれることもあって、かすかな期待をする。
 情報が多い社会に身をおいていると、何でも分かる、できると思い込んでしまう危険が付きまとう。機械を頼るだけでなく、人の話にも耳を貸してほしいと思う。人の縁を大事にして、人の力を借りないと、ここでの生活は大変だと思う。【大石克子】

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