感謝して捨てる

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 「あなたは物が捨てられますか?」今米国だけでなくヨーロッパ各国でも話題になっている断捨離の本がある。まず断捨離とは物を買うことを断ち、必要でない物は捨て、物への執着から離れることを意味する。
 片付けられず、部屋は物で溢れ散らかり放題の人のために、整理整頓術を伝授する本「The Life Changing Magic of Tidying Up」は昨年暮れ、北米で刊行された。著者はなんと日本人女性。まず先に日本で刊行され、その後ヒットの波は北米だけでなく、ヨーロッパにも飛び火した。
 片付け方法は実に簡単で、まず物を手に取り、ときめいたものだけを残し、そうでない物は捨てるというもの。そして捨てる際は「今までありがとう」と感謝の言葉をかけて捨てるというのだ。
 日本には古くから付喪神(つくもがみ)といって長い年月をかけて使われた物や道具には神や魂が宿るという考え方がある。こうした言い伝えから、物を大事にすることは昔から日本人の生活に根付いたごく自然な行為なのであった。
 しかし米国人にとっては、物に感謝の念を伝えるという概念自体が今までになく非常に斬新。これまでに50万部を超えるベストセラーとなっている。NYタイムズ紙やウォールストリートジャーナル紙でも大きく報じられていることから、その話題性が伺える。
 日本人の感謝する心は美しい。われわれ日本人がごく当たり前のことのように行っている心掛けや行動は、時として他国の人々からみると美しく映ることもあるようだ。感謝の気持ちを忘れない姿勢、物を大切にする心を養うといったことは、自然に日本人の中に受け継がれているのだ。
 身の回りの整理の一環で、これを機に煩わしい人間関係がある人はきれいさっぱり切り捨ててしまうのもいいかもしれない。顔を思い浮かべ、ときめかなかったら捨てる。そして最後に忘れてはならないのが「今までありがとう」のひとこと。心の中でそっと語りかけ、いらない人間関係も整理すると、明日からより心地よい生活が送れるかもしれない。【吉田純子】

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