日本の花見

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 4月が近づくと一挙に春めいて、各地の桜の開花が相次いで発表された。東京でも靖国神社や上野公園の開花宣言は今日か明日かとテレビを通じて報道され、ついに標本木とされている桜の枝に5~6輪の開花が見られたところで開花発表となった。
 先週の土曜日は、近頃とみに人気が高まっている目黒川沿いの桜を見に出かけた。昨年暮れクリスマスの青一色の幻想的なイルミネーションが目に焼き付いているからである。目黒駅を降りるともう人人人でごった返し、こんなに桜見物人がいるのだと驚きながら人波にもまれて改札口へ向かう。駅前道路を渡り、短い商店街を抜けると目黒川。両岸から川面に枝を伸ばす桜は2〜3分咲き。中に混じる5~6分咲きの桜にはカメラや携帯を持った人たちが思い出の一枚をと群がっている。橋を渡ると広くもない道路端に焼き鳥や鶏の唐揚げ、ビールやワインのお店が並ぶ。「ああ日本だなあ」と感じる瞬間である。
 目黒川は桜並木が川沿いに長く続く。所々にある小公園にはお弁当を広げビールやワインを傾けるカップルや家族連れが敷物持参で楽しんでいる。対岸の桜を眺めながら至福のひと時だ。最近目につくのは外国人の姿が増えたこと。テレビ報道ではわざわざ日本の花見にやって来たというマレーシアの観光客がインタビューを受けていた。日本の「お花見」は外国にまでその名が浸透し始めたようだ。
 アジアの人たち、中でも日本人は自然と共に生きる。自然は時に台風や竜巻、地震や津波を伴い甚大な災害をもたらす。一方で温かい陽光を注ぎ恵みの雨を降らせる。四季の移り変わりと共にさまざまな顔を見せる自然、私たちはそんな自然を畏れ敬い愛し、自然と折り合いをつけて生活を楽しむ習慣を身につけて来た。仏教が森の宗教といわれ、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教が岩山の宗教といわれるのはこのような自然環境に根ざすものだろう。
 桜が咲いたと喜び、風が強い、雨で散りそうだと心配する。どうして日本人はここまで桜が好きなのだろう。そういう私も日本人、いまは短い花の季節を心ゆくまで楽しもう。これから2週間は桜から目が離せない。【若尾龍彦】

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