玉子丼に導かれて

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 予定を組めないまま、先月、日本に行った。いくつかの用事をいつ済ませられるか、気がかりではあったが、全て順調に進んで、思いがけなく知人とも10年ぶりの再会ができ、初めての地を訪ねることができた。
 天候はほとんど雨だったが、墓地への納骨の日など、晴れてほしい日は晴れて、干ばつのカリフォルニアを思うと、湿気に恵まれ贅沢な気分だった。
 その雨の中、篠栗新四国霊場総本寺の南蔵院へのお参りもかなった。相手がいる用事は、相手の都合次第なので、正直いって無理だろうと思っていた。
 南蔵院は、博多から電車で35分の場所で、交通の便はいい。篠栗四国は日本三大霊場の一つに数えられ、世界一の大きさの釈迦涅槃像は、「ささぐりのねぼとけさん」と親しまれている。体内には仏舎利が安置されているという。全長41メートル、高さ11メートルは圧倒される大きさだった。木々に覆われ、雨でぬかるんだ坂道を登って、視界が開けたと思ったら、そこに涅槃像が横たわっていた。ゆっくり回ってお参りとはいかなかったが、地理的なことが分かっただけでもよかった。
 南蔵院直営の荒神茶屋でごちそうになった玉子丼は最高だった。連れから、親子丼がおいしいらしいですよと、教えられたが、鶏肉を食さないので玉子丼にした。戻って、おいしいものを食べてきたか、の質問にこの玉子丼をいうとけげんな顔をされるので、話さないようにしているが、卵の色、だしともにこれまで食べた中で一番だった。聞き手のたかが玉子丼の態度に、解消されないもやもや、どうしても書きたかった勝手をご理解いただきたい。連れの若者はカツ丼を「うまい」を連発しながら平らげた。
 お遍路さんの数は減少しているということだったが、韓国からの観光客は多いように見えた。当日、すれ違った団体もそうだった。
 昨年の高野山参りから、真言宗にご縁をいただいているが、篠栗四国は全く知らなかったところで、おかげさまで行かせていただいた。さらに、胃袋まで満たしていただいた。ありがたいことだった。お寺参りは、小雨ぐらいが落ち着くように思う。また、ご縁がありますように。【大石克子】

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