シニアの入口で

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 少し風邪気味だったので、早い目にと、日本で愛用していた朝夕2カプセルで効くという風邪の特効薬を飲んで寝た。いつもならクーっと眠れて翌朝はスッキリ! のはずが、一向に眠気もこないし、効き目が現われない。今までは気にもしなかった[注意書き]に目を通すと、高齢者は服用前に医師に相談のこととあった。ああ、高齢者になると市販の薬も安易には飲めないんだとショックだった。
 日本にいた時、映画館でシニア料金を頑として利用しないシニアがいた。発券窓口にシニアと並べて幼児と表記されているのが気に入らないようで、「幼児と一緒にされてたまるかッ!」と一般料金を払っていたが、あれから十数年、多分今頃は十分シニアだと窓口で見破られているだろうなァ、とおかしくなる。
 私の母は80歳を過ぎても「おばあちゃん」と呼ばれるのをイヤがった。「孫もいないのに!」と、不満げで、若い友達には姓で呼ばせていた。晩婚だったので初孫に恵まれたのは80を優に超えていた。
 かと思えば、私よりずっと若いのに、「早くシニアになりたい」と特典を心待ちにしている人も何人か知っている。
 周りがこんな具合で、自分の年齢も他人の年齢もあまり気にしたことがなかった。体のあちこちが傷んできてやっと、れっきとしたシニアだと認めざるを得なくなり、とまどっている。
 同年代の人からお墓を買ったとか、遺言状を作ったとか、財産の名義を変更したとか聞くと、財産もないし、それを譲る子供もいないのに、少々あせってくる。せめて「立つ鳥後を濁さず」だけは心がけたいと思う。
 一時、アラフォー(around forty)という言葉が流行した。50歳前後はアラフィフというそうだ。その上はアラシク(アラ還)、アラセブなのか? あまり聞かないということは、まとめてシニアになっちゃうんだろう。
 さて、風邪薬が効かないとなれば、風邪にかからない体力をつけるしかない。とりあえず、早足歩きと朝のラジオ体操だけは欠かさないようにしよう。
 ああ、それにしても、健康を維持するためにしなければならないことがいかに多すぎることよ。でもまあ、ボチボチやりましょう。【中島千絵】

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