書画家・平野武さんが実演:異色のアートと融け合う

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立体的な作品披露

艶やかな着物を身にまとい、コンテンポラリーダンサーとコラボレートする平野さん(中央)

艶やかな着物を身にまとい、コンテンポラリーダンサーとコラボレートする平野さん(中央)

 世界6カ国で、個展や実演を行った実績を持つ書画家の平野武(ひらの・いさ)さんが来米し、コンテンポラリーダンスとのコラボレーションによるパフォーマンスを13日、グレンデールの「ブランド図書館&アートセンター」で2度にわたり行った。前衛的な書道が、異色のアートと融合することで、平面の枠を飛び出し、立体的な芸術作品を披露した。

大きな筆を使って、平和を祈願し「平」を書く平野さん

大きな筆を使って、平和を祈願し「平」を書く平野さん

 静かで、ゆっくりと流れる幻想的な音楽に乗って、男女4人がしなやかな動きのダンスを演じる中で、平野さんが艶やかな着物姿で登場。会場には、異次元にいるような不思議な空間が広がった。
 平野さんは、3つの大きさの紙に力強く揮毫する。特大の3枚にはそれぞれに「慈(慈愛)」「平(平和)」「愛」を、中判には「日本の国花を表現したかった」という「桜」を朱墨を用いて、十数枚の色紙には観客のすぐ前で、「椿」を絵と漢字で表し、緑のスプレーで葉を描いた。会場から感嘆の声が上がったのは、ダンサーの衣装に墨を付けたり、字を書いたりする奇抜な演出が見られたためだ。女性ダンサーの胸に、ゆっくりと優しく「愛」と書き、約40分間のショーを静かに締めた。
 鑑賞者は、アーティストやアートを趣味にする人が多くおり、その1人で、同アートセンターのすぐ近くに住むエルビラ・ムニュオスさんは、音楽と絵画、彫刻を愛好する。ショーについて「不思議な感じで、興味深く見させてもらった。大きなブラシでダンサーの体に字を書いたりし、とてもエンターテイン性に富んで驚き、次は何が起こるのかワクワクして見た」と話した。「それぞれのパフォーマーが無言のうちに意思疎通を図っている感じがしたのが印象的で、刺激を受けた」と語った。
 ショーのディレクター兼振付け師のハイジ・ダックラーさんは数々のショーを手掛けるが、書家とのコラボレーションは今回が初めてだといいい「世界各国の音楽とダンス、そして日本の書道という異種のアートが、うまく噛み合い、とてもすばらしいショーを見せることができた」と胸を張った。「イサ(平野さん)は、とてもパワフルな演技を見せ、観客はイサからインスパイアーされたと思うとうれしい」と評価した。
ダンサー(手前下)に文字を書く平野さん

ダンサー(手前下)に文字を書く平野さん

 平野さんは「普段(の書道の作品で)は、平面表現しかできないので、空間表現をしたかった」といい、無我夢中で演技に集中したという。初体験というコラボレーションを終え「みんな(アーティスト)のエネルギーが集まって、いいパフォーマンスができ、作品が立体的に際立つような出来になったと思う」と喜んだ。
 大学でモダンアートを専攻した平野さんは、創作活動の中で、書道を取り入れた。「白と黒というクラシック(日本の伝統的)な表現を加え、西洋の画材の良さを生かして、色彩などの技術を駆使し、和洋のアートをミックスさせた平面作品を作るようになった」という。書道の実演の醍醐味は「刹那を捕まえて表現できること」といい、一本一本、線を重ね、膨大な時間をかけて仕上げる絵画とは裏腹に「作品を仕上げる瞬間を(鑑賞者と)共有でき、書家冥利に尽きる」と力説。今後の海外での活動については「1年に1度はやりたい」と意欲をみせ「クラシックダンスと演じてもおもしろいかもしれない」と述べ、今回のショーの成功を生かす考えを示した。【永田潤、写真も】
スプレーを使い、色紙に椿の葉を描く平野さん(右)のパフォーマンスを凝視する参加者

スプレーを使い、色紙に椿の葉を描く平野さん(右)のパフォーマンスを凝視する参加者


スタンディングオベーションに手を振って応えるディレクターのハイジ・ダックラー(左端)と平野さん(右隣)らパフォーマー

スタンディングオベーションに笑顔で応えるディレクターのハイジ・ダックラーさん(左端)と平野さん(右隣)らパフォーマー

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