敬老4施設:売却額は4100万ドル

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日系社会の健康促進のために活用

敬老4施設の売買に関し、売却額が示された資料の一部

敬老4施設の売買に関し、売却額が示された資料の一部

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カリフォルニア州司法当局からの資料によると、敬老4施設のパシフィカ・カンパニーへの売却予定額が総額4100万ドルであることが分かった。売却で得た金額は今後、4施設売却後も非営利団体として運営される組織「敬老シニアヘルスケア」が健康増進のための事業を拡大させるために使われる予定だという。ボードメンバーのチェアマン、ゲリー・カワグチ氏が羅府新報社の取材に答えた。【中西奈緒、写真も】

州司法当局が敬老の売却を条件付きで承認した資料によると、敬老4施設(ボイルハイツにある敬老引退者ホーム、敬老中間看護施設、リンカーンハイツにある敬老看護ホーム、ガーデナ市にあるサウスベイ敬老看護ホーム)の米営利団体のパシフィカ・カンパニーへの売却が総額4100万ドル、正味収益額はおよそ3700万ドルであることが分かった。

非営利団体の「敬老シニアヘルスケア」は、およそ50年前、フレッド和田、ジョージ荒谷ら8人の日系人有志が日米の両国を奔走して寄付金を集め、日系コミュニティーが協力してやっとの思いで作り上げた施設で、日系の高齢者のために4施設を運営してきた。日本の食事やアクティビティーなど、日本の文化や伝統を大切にしてきたきめ細かいサービスが特徴で、カリフォルニア州では唯一の日系の高齢者に向けた総合施設だとされている。非営利団体であることから、日米の団体や個人からの多額の寄付金、カリフォルニア州からの援助、地域のボランティア・メンバーなど、多くの人たちのサポートで成り立ってきた。

その4施設の売却先は、サンディエゴに本社を置き、インド系アメリカ人が所有する不動産会社「パシフィカ・カンパニー社」(Pacifica Companies LLC)。同社の高齢者施設担当者カール・クレプラー氏によると、パシフィカは全米、インド、メキシコでホテルや一般住宅を扱い、高齢者向け施設は全米14州で55カ所、そのうちカリフォルニアで22カ所を経営、運営している。今回の売買は2016年の初頭にエスクローの手続きが完了する予定になっている。

州司法当局からの条件付き承認の書類によると、「今後5年間」は4つの施設が現在の状況のまま、ベット数や保険の適用の条件、日本文化伝統を重んじたサービスを持って運営されることなどが条件として記載され、また、敬老側がパシフィカ側に助言をする「コミュニティーアドバイザリーボード」の設置も条件として示されている。しかし、5年後については今は何も決まっておらず、仮にパシフィカ側が規定を守らなかった際のペナルティーなどの記載もない。

今回の州司法当局からの条件付き承認、そして、4100万ドルの使い道などについてボード・チェアマンのゲリー・カワグチ氏との一問一答は次の通り。

‐いま契約のプロセスはどんな状況?

「今回の州司法当局の承認はまだ条件付きの状態で、すべてが終わったわけではない。双方がその条件を認めることができなかったら、また州司法当局と交渉して変更したり、仮にパシフィカ側がこの条件は受け入れられない、となればこの契約の話はなくなる可能性だってある。まだ分からない」

‐正味収益額およそ3700万ドルは今後どのように使われる予定?

「実際はいろいろな経費などで3700万ドルも残らない。このお金は銀行に入れて投資を行って、その利子が収入となってヘルシーリビングプログラム(健康促進プログラム)など、幅広く健康や医療に携わるプログラムを行っていく。ヘルシーリビングプログラムは今も行っているけれど、考えているたくさんのプログラムの、あくまでひとつに過ぎない。一度にいろんなことはできないから、1つずつ進めて様子を見て、次に進んでいく。新しい「敬老シニアサービス」は日系社会に貢献するという敬老のミッションに従いながらも、ビジョンはもっと大きい。少しでも長く自分の家で過ごしたいというお年寄りが増えてきている中、また、医療の発達で寿命が長くなっている今、より長く健康に暮らしていくことをサポートするプログラムが大切。それは年配の方だけでなく若い世代に対しても。そうしていけば、病気などを防ぐことができるし、早くから高齢者施設に頼らなくてすむようになる。敬老は新しい敬老になる。始めたばかりで、プランを立てているところ。コミュニティーの人たちはすべてのプログラムを予期することはできないと思う」

「人口の構造をみるとこの日系社会の50%以上が他の人種と結婚している。だから遅かれ早かれ敬老が他の人種に開かれていくことになるかもしれない。5年後10年後になると敬老のようなケアが必要な人は減って行く。3世、4世は日本食は食べるけれど、日本のプログラムとかにはあまり関心がないと思う。今後他のホームのほうが心地がいいかもしれない。問題は人口構造の変化、ニーズの変化、オバマケアの影響、そして、より多くの人たちが高齢者施設で過ごすのではなくて、できるだけ長く家庭いいて、ホームケアを受けたいというトレンドがある。あと、3世、4世、5世は寄付をしない。寄付金はどんどん減っている。これは敬老だけではなくて、ほかの日系団体も同じ状況。新らしい敬老でも、徐々にこれから寄付を集めたい、でもコミュニティーの人たちは3700万ドルあるならいらないだろうと思うだろう。2年後になるか3年後になるか分からないけれど私たちの取り組みを見て、また寄付をしてもらいたいと思っている。収入は十分ではないだろうから」

‐今までお金を寄付してきた人が「私は敬老4施設のために寄付してきたから、違う目的のために今後使うなら返してほしい」と言われたら?

「かりに3年前とか5年前に寄付したお金を返してくれと言われたら、それはもう使われてしまっているから返すことはできない。しかし、売却の話が出始めた2年前からは、寄付をしてくれる人たちに今の状況をきちんと知らせて、それでもいいという人たちから寄付金を受け取ってきた。今まで返してほしいという話は出てきていない」

 ‐州司法当局からの書類には、万が一、パシフィカ側が契約を守らなかった際のペナルティーなどについて書かれていないけれどなぜ?
「それは僕にも分からない。全部、州司法当局の判断によるから直接聞いてみたら」

‐敬老側がコミュニティー・アドバイザリーボードを設置して、今後、パシフィカ側に助言をすることができるようだが?
「あくまで助言できるだけであって、向こう側が必ずしもその助言に従わなくてはならないというわけではないから、期待できないかもしれない」

‐売却後、非営利団体として残る「敬老シニアヘルスケア」の代表やボードメンバーは誰になる?
「いまのままのメンバーで続けていく予定」

‐ボードメンバーは、この売却の売上から配当金とか手当てをもらう?
「まさか、もらうわけがない。20年もボードやっているけど1ペニーももらったことない。ボードはボランティアなんだから、もらったらみんなから叱られるよ」

‐今後コミュニティーから説明会を開いてほしいという要望があったら開く予定?
「今月23日の水曜日にボイルハイツの敬老引退者ホームで、住居者のみに向けて説明会を開くことになっているが、コミュニティー全体を対象とした説明会を開くつもりはない。反対していたり、それを表明しているのは日系社会のほんの一部にしかすぎない。彼らはいろいろな事実を知らないから、もしアドバイザリーボードのメンバーなどになったらこのましくないと思う。たとえ、コミュニティー全体の会合を開いたとしても、彼らは耳をかたむけてくれないと思っている」

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現在コミュニティーでは毎週土曜日に敬老に関わってきた医師や、ソーシャルワーカー、敬老住民などが中心となり、今後どうやってコミュニティーの声を少しでも敬老に届けていこうか話しあいを行っている。今月末には、大きな集会が開催される予定だ。

州司法当局からの売却額や条件などが示された資料

州司法当局からの売却額や条件などが示された資料

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