リトルサイゴン:ベトナム系移民の街【上】

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リトルサイゴンにあるアジアン・ガーデン・モール。食に衣料にベトナム文化が凝縮されている

リトルサイゴンにあるアジアン・ガーデン・モール。食に衣料にベトナム文化が凝縮されている

 人種のるつぼ米国。その全米第2の都市ロサンゼルス近郊には世界各国から海を渡ってやってきた移民がコミュニティーを形成し、その国の面影を残している。日本人街が「リトル東京」なら、ベトナム系移民の街は「リトルサイゴン」、インド人街は「リトルインディア」と呼ばれ、それぞれの国の文化が息づいている。今回はオレンジ郡にあるリトルサイゴンを紹介する。【吉田純子、写真も】

little_saigon_map ロサンゼルスから南方およそ45マイルに位置する同郡ウエストミンスター市にリトルサイゴンはある。四方およそ3平方マイルに広がるエリアに、2千軒近くのベトナム料理店やベトナム系日用品店、ビジネスが軒を連ねる。
 リトルサイゴンはベトナム系米国人の全米最大規模のコミュニティーとして定着し、2011年の国勢調査では、オレンジ郡のベトナム系人口はおよそ18万9500人。同市をはじめ近郊のガーデングローブ、サンタアナにも多くのベトナム系米国人が在住する。
 リトルサイゴンの名前の由来となっているサイゴンはベトナム社会主義共和国最大の経済都市ホーチミン市の旧名。
 1975年、ベトナム戦争が、旧ソ連が支援するベトナム民主共和国(北ベトナム)の勝利で終結し、米国が支援していたベトナム共和国(南ベトナム)の首都サイゴンが陥落すると、多くのベトナム人が南ベトナムを脱出。難民として米国へと渡り、その多くがウエストミンスターに定住した。
 1988年6月に、当時のカリフォルニア州知事ジョージ・デュークメジアン氏が、ベトナム系移民のビジネスが多く点在していた同地区を正式にリトルサイゴンと命名。今に至る。

モールは文化が凝縮
夏には夜市も開催

 エビやロブスターのバーベキューを売る屋台


エビやロブスターのバーベキューを売る屋台

 リトルサイゴンでベトナム文化が凝縮されているのが、アジアン・ガーデン・モール(9200 Bolsa Ave, Westminster)だ。
 同モールでは毎年6月から9月にかけて、週末限定の夜市が開催され、モール屋外にはベトナムのB級グルメの屋台が並ぶ。イカやエビ、ロブスターなどシーフードのバーベキューや焼き鳥のほか、デザートのブースもあり、多くの人で賑わう。
 バーベキューの香ばしい香りに誘われ、筆者もロブスターのバーベキューのほか、温かい豆腐にショウガとココナツのシロップをかけて食べるデザートに舌鼓を打った。ベトナム語が飛び交い、異国情緒漂う雰囲気に、ロサンゼルスにいながらまるでベトナムを旅しているかのような錯覚に陥った。
 モール内にはベトナムの民族衣装「アオザイ」の生地を販売する店をはじめ宝飾品店、占いの館のほかフードコートもある。
 フードコートにはライスヌードルで作るベトナムの代表的な麺料理のフォーをはじめ、ベトナム風お好み焼きのバインセオ、生春巻き、粥などの店が並ぶ。
モール内にはベトナムの民族衣装アオザイの生地を売る店もある

モール内にはベトナムの民族衣装アオザイの生地を売る店もある

 ベトナムは19世紀後半から20世紀にかけて、フランスの植民地支配下にあり、食文化にもフランスの影響が色濃く感じられる。
 コーヒーやパンを食べる文化が根付いているのもそのせいだ。代表的なものに、コーヒーにコンデンスミルクを混ぜて飲むベトナムコーヒーのほか、バゲット(フランスパン)にハムや野菜、パクチー(香草)をはさみ、ニョクマム(魚醤)を掛けて食べるバンミーがある。
 モール中央には祈りを捧げる場所も設けられており、ベトナム系移民の信心深い国民性が当地ロサンゼルスにも息づいていた。

 夏の間、週末限定で開催される夜市。ベトナム料理の屋台が並び多くの人で賑わう


夏の間、週末限定で開催される夜市。ベトナム料理の屋台が並び多くの人で賑わう


 ライスヌードルで作るベトナムの代表的な麺料理のフォー


ライスヌードルで作るベトナムの代表的な麺料理のフォー


 フードコートにはさまざまな種類のベトナム料理が並ぶ


フードコートにはさまざまな種類のベトナム料理が並ぶ

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