敬老問題:「守る会」州司法当局に返信

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敬老書類2千ぺージの問題点などを指摘、徹底抗戦の姿勢示す

売却問題で揺れる敬老4施設のうちの一つ、ボイルハイツの敬老引退者ホーム

売却問題で揺れる敬老4施設のうちの一つ、ボイルハイツの敬老引退者ホーム

 「敬老を守る会」は16日、カリフォルニア州司法当局から受け取った書状に対して5ページにわたる文面で返信した。その文面には敬老から州司法当局へ提出され審査された2千ページに及ぶ資料の信憑性(しんぴょうせい)やそれに基づく問題点などについての指摘もなされ、売却の延期と公聴会の開催を再度強く要求した。【中西奈緒(写真も)、モニエ中地美亜】

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 ここで、今までの流れを振り返ると、今月5日に「敬老を守る会」は、提出した敬老売却の延期と公聴会の開催を求める署名の返書として、州司法当局ロサンゼルス・オフィスのタニア・イバネス州副司法長官から3ページの書状を受け取った。これと同じものが、当局に書状を提出した州下院のデヴィド・ハドレー議員(共和)と連邦下院のジュディ・チュウ議員(民主)をリーダーとした16人のもとに送られた。(連邦下議の書状

◎ 州司法当局から「敬老を守る会」と議員らへの書状(11月5日)

 書状には、今年9月2日に全ての審査が終わり「2千ページにも及ぶ資料の中で、売却に関して2年間にわたって敬老側が行った60回のミーティングの詳しい記録も審査された」とし、「敬老は売却について、日本語と英語でコミュニティーのイベントやワークショップ、個人的なミーティング、お知らせの手紙、インターネットや報道発表などを通じて居住者やその家族、スタッフやボランティアに情報を提供してきた」と書かれ、その結果「法的にこの売却承認を取り消すことができない」とした。

 一方で、売却後にパシフィカ社にアドバイスをするために設けられることになっている「コミュニティー・アドバイザリー・ボード(CAB)」のメンバーに「『敬老を守る会』から3人選ばれる予定」という妥協案ともいえる内容も加えられていた。

 また、これまで集められた寄付金の使われ方については、施設が売却されても日系社会の高齢者たちのために使われることになっていることから、州司法当局としてはすべて条件に見合っていると判断し、さらに「当局としては必要と思われる売却条件をすべて当事者に課しているので、将来にわたって居住者やコミュニティーの利益は守られると確信している」と締めくくられた。

◎「敬老を守る会」から州司法当局への返書(11月16日)

 州司法当局の書状に対する「敬老を守る会」からの返事は5ページにわたるもので、16日付けで送られた。さまざまな専門家たちを含む会のメンバーが、敬老が州司法当局に提出した2千ページの資料を読み込み、また地道に独自の調査を行った上で、その要約が書かれた。「守る会」は返書の中で、当局が書面で述べた「60回のミーティング」の信憑性、提出されているものがエンザイン社との取引の際の古いものであること、またその古いデータに基づいて土地の評価額が決まっていることなど問題点を指摘している。

 具体的な調査報告などは23日(月)に小東京のアラタニ劇場で開催されるタウンホールミーティングで公表されることになっている。州司法当局宛に提出した手紙の翻訳は下記に記載の通り。ジュディ・チュウ連邦下議を中心とする連邦下院議員やデヴィド・ハドレー州下院議員からの州司法当局への返書はまだ送られていない。

◎ 23日にタウンホール・ミーティング@アラタニ劇場

 「敬老を守る会」は23日(月)午後7時から小東京のアラタニ劇場(244 S. San Pedro St., Los Angeles, CA 90012)でタウンホール・ミーティングを開催する。このミーティングには、この問題に関心がある人、敬老の行く末が心配な人、売却反対の人、賛成の人など誰でも無料で参加することができる。今回は、初めて敬老サイドと州司法当局サイドを公式に招待しており、連邦下院のジュディ・チュウ議員も参加を予定していて、「敬老を守る会」が過去2回開催してきた集会よりも大規模な集会になると予想されている。(過去の敬老売却関連の記事はここから全て読むことができる

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2015年11月16日

加州ロサンゼルス、300サウス・スプリング街1702号室
カリフォルニア州司法省司法長官局
上位補佐官、タニア・イバネス様

敬老高齢者健康サービスの件について

イバネス様へ

 先日、2015年11月5日に貴当局が承認された敬老の売却を撤回することはできないというお便りをいただきました。この度はそれに対し、お返事させていただきたく存じます。

 私たちは貴当局のお返事に対し、重大な懸念を抱いております。(1)司法長官の敬老売却の承認は市民集会なしで行なわれました。そのため承認される以前に、財政状態、業務状況などが適切に公開されず、また、市民による重要な情報提供の機会が与えられる場を逸しました。(2)市民集会が行われていた場合、敬老の提案が敬老にとって公平を期したものかどうか、かつ敬老施設の現在、また将来の住人が充分に保護されるよう客観的に再調査されていたかもしれません。

 貴当局が市民集会の免除を決断されたことに対し、もちろん、私たちはそのような権限をお持ちだということは存じておりますが、それが司法長官の持つ、市民や一般大衆を含む、影響を受ける側の人たちの立場を守るという責任まで免除されるわけではないはずです。私たちの立場を守れる地位にあるのは、司法長官だけなのです。敬老側からの60回の市民集会を開いたという主張を鵜呑(うの)みにし、貴当局が市民集会開催を免除したということはまことに遺憾です。60回の集会をつぶさに調査致しました結果、この集会はすべてパシフィカ社が関わる以前のデータです。それのみならず、貴当局が不許可としたエンザイン社への売却以前のデータを使っています。エンザイン社への売却以前の集会が、今現在進行中のパシフィカ社への売却に関して関係者へ通知をしたという資料になるとは、一体どういうことなのでしょうか。

 敬老を守る会が案じる2つ目の理由は、もし市民集会が実地されていたら、敬老の今回の売却計画を、より客観的に審査することが可能だったということです。その一例が時代遅れの物件の鑑定書で、古い評価価格を正当なものと判断しています。それだけではありません。この鑑定書はエンザイン社への売却問題以前のものです! 2013年の査定から地価は高騰しているはずです。

 もう一つの問題点はパシフィカ社の欠陥です。ノースカロライナ州福祉局の捜査で、度重なる州の規律違反が発覚し、パシフィカ社の成人介護免許は剥奪されています。私ども市民は、貴当局がこの問題をきちんと探索されたか知りたく存じます。もし市民集会が開かれ、この問題が公開されていたなら、このような問題も開示され、対処されていたのではないでしょうか。

 以下に記すことは、これまでの調査結果の要約です。

1.会社法5914(a)に基づくと、敬老はNPO法人の資産が営利企業へ売却されるような事態が起きた場合、司法長官局の承認を得る必要があります。さらに、(1)貴当局の承認には、そこの居住者でありかつ一般市民にとり、そこの医療サービスが利用可能であるか、または入手できるのかも含まれます(会社法5917)。(2)正式の決断をされる以前に、一回以上市民集会を行なう義務があります(会社法5916)。(3) 5914(c)を実行するに当たり、5914(a)の市民集会を免除することは可能です。よって貴当局は敬老が市民集会なしで売却を行なうことを許可しました。ただし、現在と将来の影響を受ける人たち、一般市民の保護への責任までをも免除することはできません。貴当局は市民を守ることのできる唯一の機関です。

2.敬老施設は、日本語を話す市民のニーズである、2カ国語でのサービスが提供できる唯一の機関です。米国中どこを見ても、このような日本語や日本の文化で対応できる施設はありません。敬老の居住者の多くが自宅を売って敬老に移りました。引退者ホームの住人たちは自費で家賃を支払っています。ところが、この人たちは間もなく家賃の値上げ問題にぶつかるようになります。支払える限度額を超えてしまうかもしれません。これはここの居住者たちにとり経済的、精神的な観点のどちらから見ても大変悲惨な状況を呼び起こします。居住者には「(売買契約の条件がなくなる)5年以内に死にたい」と言っている人もいるくらいです。

 現在の敬老介護施設、また中間介護施設の居住者の60%から70%、あるいは3分の2がメディケアとメディカルという国家による二つの社会保険に経費を依存しています。それ以外の人々は国家から何も支給されていません。他の介護施設はそれ以上の割合で社会保険に依存する居住者が多く、経済破綻を生む可能性も高いのです。敬老はミリオン単位の巨額の寄付、誠意のある惜しみない献金をする人たちの存在があってはじめて、他の施設と比較して、景気の下降などあらゆる難局に際しても立ち向かう力のある、はるかに良い施設です。

 パシフィカ社は営利団体で、不動産の開発会社です。その経営理念の中核は日系市民の引退者へのニーズを叶えるためではなく、儲けを出すことにあります。私たちは今回の問題がただのサービスの変換ではなく、施設の売却であるということをはっきり認識する必要があります。貴当局は売却条件として、一時的に何かを要求することは可能です。しかし、売却条件は、時期が過ぎたら自然消滅してしまいます。一定期間のサービス期間を越えたら、何が起こると思われますか。老人を見捨てるなどということは倫理的、道徳的な侵害です。これまでちょうど手頃な値段で、言語の上でも文化的にも安心して暮らせたわが家を失い、引き起こされるであろう住民の精神的な苦痛、怒り、苦悩は組織的な老人虐待と言えはしないでしょうか。

3.敬老の経営陣に対する疑問があります。これまで寄付金を集めるに当たり、間違った、あるいは誤解を招くようなことがなかったかということです。寄付はほとんどが敬老引退者施設や介護施設の維持継続のためになされています。寄付金を受け取る際、その献金をする人々、あるいは企業などに敬老の今後の変化を伝える義務があります。ところがそれは公にされず、透明な形でなされませんでした。

4.売却を正当化するため、間違った言い訳が作られました。敬老側は売却への決断は、日系人口の統計学的変化や寄付の減少によるものだと主張しています。世代交代は、敬老サービスの需要低下を促したというのです。しかし、それとは裏腹に、現在の居住者の80%は戦後米国に移住した日本語を話す人々です。第2次大戦以後に移住した日系一世が現在敬老に居住しており、家賃も医療費もきちんと納めています。戦前の日系社会と戦後日系社会では人口構成その他、いろいろ変化はあります。けれども2カ国語での引退者サービス、介護ケアはまだ必要とされています。つい最近売却が発表されるまでは、敬老に入居を希望する日本人、日系人の高齢者リストは、順番待ちでした。

5.敬老の経営陣は、患者保護ならびに医療費負担適正化法の直接の影響で、将来財政赤字を予想しています。しかし、敬老はいまだかつて財政赤字に直面したことはなく、クレジットラインを超えたこともありません。現在あるいは将来への運営経費に対して、十分な現金や現金等価物を所有しています。

6.カリフォルニア州会社法によると、司法長官にはカリフォルニア州のNPO法人に関し、市民への最大の利益を守るという義務が課せられています。それは売却問題に限らず、その施設の目的と内容の適合性もあります。よって司法長官はNPO法人の福祉施設の売却から生じる問題に対し、独自で全てが規約に即しているか再検査することが法律的に義務づけられています。独自での審査により、カリフォルニア市民に最高の利益を提供できるか確証するのです。

 敬老が陳述した書類を全て信用するということと、貴当局のほうで独自の審査をすることとは異なります。資産の現時点での市場価値という面でも、市民が正しい資産価値に見合ったものを取得しているかどうか、再検討されなければなりません。

 資料の中で最も新しい資産の鑑定書は2013年10月に作られたものです。これは貴当局に送られた提出時からして、かなり古い資料です。1年という鑑定書の標準期限を遥かに越えています。敬老が鑑定の更新を請求したという証もありません。

 私どもはこの鑑定書が、貴局が2014年10月に却下したエンザイン社への売却の際に作られたものと確信しています。南カリフォルニアの不動産市場はダイナミックな市場であり、刻々と変化しています。この重大な不動産取引が、カリフォルニア会社法5917条と5923条に照らし合わせることなく、よってカリフォルニア市民の最高の利益が守られたという決断には至りません。

7.2段落目、2つ目の文章で「売却に関して過去2年間にわたり、60回以上も行なわれた会合の詳細ないきさつが記された2000頁以上にわたる書類を入念に調べ上げた」とありますが、敬老を守る会は独自で追加書類Jの調査を致しました。999.5条(d)(10)における会合の説明に、「地元政府機関、福祉施設の専門職員、従業員、一般市民への売却提示を行なったことを表す記述」とあります。

 まず、追加書類Jに記された会合の全てが、過去に失敗したエンザイン社への売却以前の日付となっており、パシフィカ社への売却に付いての詳細であるわけがありません。その上、その追加書類Jにはそのエンザイン社への売却問題以後、パシフィカ社への売却までの期間に一度も会合や発表が行なわれていません。その上、2015年6月2日のパシフィカ社への売却発表から2015年6月26日の一般市民からの意見受付期間に、職員にも一般市民にもこの問題を知らせるための会合を行なうこともせず、印刷物も発行されていません。

 その上、私どもは会合の出席者や議事録、お知らせ、ちらし、協議事項など、できる限りの生の情報を入手し、細部にわたる調査を行いました。日本語を話す住民からは、敬老の経営陣から一体何が知らされたのか全く理解できなかったという苦情を聞かされました。

 要約しますと、私どもが話をした人の全てが、売却問題についての情報がなされたという覚えがないか、売却が話題になった覚えがないと言います。誰1人としてパシフィカ社への売却問題に賛成意見や反対意見が出せるようなしっかりした話題は記憶にないのです。(添付書類参照)

8.お手紙によりますと、敬老の患者や居住者への質の高いケアが守られることを「確信する」とありました。その「確信」は何に基づいているのでしょうか?敬老が過去50年余り運営されてきた間、公認記録に法律違反の記録はただの一件もありませんでした。それに反し、パシフィカ社は社会福祉局より数限りなく法律違反による取り締まりを受けています。どのようにして貴当局がパシフィカ社のふるまいを監視し、万が一契約に従っていなかった場合、いかなる対策で対処して下さるのですか?

9.この売却の完了に伴い、700人以上の従業員の契約が終わります。パシフィカ社が従業員の採用期間を延長するかもしれません。けれども敬老は年金、病傷休暇、有給休暇、現在の役職に基づく給与体系など、さまざまなベネフィットに関する交渉を行なっていません。このことは大変大切な、末永く働いてくれ、2カ国語を話す職員を失うことにつながり、施設は居住者のニーズに応えることができなくなってしまいます。

10.売却後、敬老の経営陣は売却で得た利益を投資して、それの管理監督を行なうようになります。その資金から得た利益は、教育的なプログラムや高齢者の研究に使われることと思います。しかし、それでは売却により引き起こされる苦しみにさいなまれる現在の居住者の助けにはなりません。居住者は法外な家賃や医療費の高騰から守られることなく、立ち向かっていかなければなりません。それに加えて、敬老が、その売り上げや他の投資資産が全く市民の手から離れ、資金の使われ方もうやむやになってしまうことと思います。

 このような理由から、私どもは売却完了以前に人々が慎重にこの件について話し合うべく、1回以上の公聴会を開くことに承認をいただけたらと思い、再度のご考慮を強く願う次第です。貴当局が再検討してくださることは、か弱く、権利を奪われた高齢者社会の利益を保護することにほかなりません。加えて、売却への論理的な根拠が欠損しています。私どもは貴局に敬老がこの共同体を売却する根拠がどこにあるのかぜひ明らかにしてくださるようお願い致します。

 この件に関し、お心にかけていただき心より感謝致します。また、イバネス様をはじめ、関係者の方々のご協力を賜りたく、宜しくお願い致します。

敬具

                           敬老を守る会会長
                            チャールズ井川

                         同スポークスパーソン
                            ジョナサン加治

添付書類
売却計画通知の会合分析表 999.5(d)(10)

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