ロサンゼルス市北部ポーターランチにある南カリフォルニア・ガス・カンパニー(SoCal Gas Co)の天然ガス貯蔵施設から大量のメタンガスが漏れており、近隣住民1千人以上が避難する事態となっている。カリフォルニア州当局は10日、同社に対し、事態の収拾と原因究明を急ぐよう呼び掛け、ガス漏れを止める作業の進行状況を早急に提出するよう緊急命令を発令した。

 ガス漏れが発生しているのはポーターランチのアリソ・キャニオンにある同社の貯蔵施設。最初にガス漏れが確認されたのは今年10月23日。地下数百フィートにあるパイプからガスが地上に噴出しているとみられ、施設周辺からは悪臭が漂っているとの住民からの苦情が相次いでいた。また頭痛や吐き気、呼吸器疾患などの健康被害も報告されている。
 同社の顧客業務担当部門のジリアン・ライト氏によると、これまでに住民1143人をホテルなどに避難させ、さらに1379人が現在避難を開始しているという。
 9日には連邦航空局(FAA)が同エリアの上空2千フィートに飛行禁止命令を発令。来年3月まで暫定的に施行される。ただし、LA郡消防局の消火飛行機に対しては、同禁止命令は適用されない。
 6週間におよぶガス漏れ事件という事態を受け、同社はガス漏れを停止させるための早急な対応を迫られている。オイルとガスに関する問題を扱う加州当局の専門部門は、事件発生当初から調査を実施。10日には科学者など専門家グループを派遣し、さらに詳しい調査に乗り出すと発表した。
 加州公衆衛生局によると、同施設から漏れているメタンガスは、人体に危険を及ぼすものではなく、長期的な健康上のリスクはないとしている。しかし、同社の対応が遅いとして住民からは批判の声が後を絶たない。これまでのところ、LA市のマイク・フォイヤー法務官は同社に対し、訴訟を起こすと発表している。
 またブラッド・シャーマン加州上院議員(民主・シャーマンオークス選出)は環境保護局(EPA)にも調査を依頼している。
 同社は先にガス漏れを止める作業を実施したが失敗に終わっている。現在も封止作業が行われているが、赤外線カメラで施設周辺を見ると、ガスが依然充満していることが分かるという。
 同社はLAダウンタウンに本社があり、LA郡をはじめオレンジ郡、リバーサイド郡、サンバナディーノ郡、サンタバーバラ郡を含む南加地区の11郡の顧客にガスを供給している。
 同施設があるポーターランチはLAダウンタウンから北西およそ30マイル、サンファナンドバレー北西部に位置する。【吉田純子】

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