敬老問題:ノーマン・ミネタ氏が売却反対を表明

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「コミュニティーの声を聞く集会」

敬老施設売却に反対を表明するノーマン・ミネタ元運輸長官

敬老施設売却に反対を表明するノーマン・ミネタ元運輸長官

 元運輸長官で、現在でも日系のみならず全米レベルで政治的な影響力をもつとされるノーマン・ミネタ氏(84)が23日、「敬老を守る会」の集会に参加し、敬老売却反対を正式に表明した。今回の敬老問題で日系の政治家たちの関わりが少ない中、ミネタ氏の協力を得たことで、守る会にとってはより幅広い展開ができると期待されている。しかし、政治的な働きかけがどこまで司法措置に対抗できるのかはいまだ不透明だ。集会には初めて、州司法当局を代表してロバート・サムナー氏も出席した。【中西奈緒(写真も)、モニエ中地美亜】

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◎「公聴会」を自分たちの手で

参加者たちは壇上にあがって敬老売却についての意見などをそれぞれ発表した

参加者たちは壇上にあがって敬老売却についての意見などをそれぞれ発表した

 「敬老を守る会」は23日(土)午後、小東京のセンテナリー合同メソジスト教会で「コミュニティーの声を聞く集会」を開催した。守る会はこの5カ月間、署名活動や連邦および州レベルの政治家たちによる直接的な応援、そして、州司法当局スタッフとの会合を通じて当局に「公聴会」の開催と売却の延期を求めてきた。

 しかし、なかなか事態が進展しない現状から自らの手で「公聴会」を開催することを決めた。集会には敬老の居住者、家族、スタッフ、医者、ボランティア、寄付者、その他コミュニティーの人たちおよそ200人が参加し、25人が壇上で意見を発表。また、出席者のほぼ全てが書面にコメントを残した。こういったコミュニティーの声を「公の記録」として残し、カマラ・ハリス州司法長官と敬老シニアヘルスケアの両方に提出することになっている。

参加者の声を聞きノートをとる州司法当局のロバート・サムナー副司法長官(右)。日本語のスピーチには守る会の池田啓子氏が通訳をして伝えた。

参加者の声を聞きノートをとる州司法当局のロバート・サムナー副司法長官(右)。日本語のスピーチには守る会の池田啓子氏が通訳をして伝えた。

 この会には、当局の代表として、サクラメント・オフィスのロバート・サムナー副司法長官が参加し、コミュニティーの声を聞いた。サムナー氏は昨年11月24日に行われた「守る会」と当局との会合に出席したメンバーの1人で、行政と司法の橋渡し的な業務を担う人物である。

◎「守る会」に協力約す、ノーマン・ミネタ氏

 集会には元運輸長官のノーマン・ミネタ氏(84)も参加して売却に反対するスピーチをし、「守る会」の活動に協力することを正式に表明した。特にミネタ氏は、「きちんとした情報が居住者やコミュニティー全体に伝わっているのか疑問に思った」と話し、すでにジュディー・チュウ連邦下議とも話し合いをして、ハリス司法長官に直接連絡をする予定だと伝えた。

 今回の背景には、守る会のジョン・カジ氏の働きかけがある。昨年10月にニューヨークにいるミネタ氏を訪問して以来、この問題について説明し協力を依頼してきた。カジ家とミネタ家のつながりは50年以上にも及び、ジョンの父親ブルースは全米日系人博物館の初代館長であり、ミネタ氏そしてジョンはいまその理事を務めている。

◎ 政府の中枢で活躍、影響力大きいミネタ氏

 ミネタ氏はカリフォルニア州サンノゼ出身の日系2世。第二次世界大戦中はワイオミング州のハートマウンテン日系人収容所で暮らした。戦後、父親が経営する保険会社で働き、1967年にサンノゼ市会議員、その後、市長となる。1974年から連邦下院議員を長く務め、クリントン政権で商務長官、ブッシュ政権で運輸長官を務めた。

 2011年9月11日に発生した「米国同時多発テロ」では政府の中枢で活躍するなど、存命するアジア系の政治家としての功績と知名度は大きい。自身が日系人収容所で過した経験があることから、イスラム教徒などへの人種差別を批判してきたことでも知られている。彼の地元サンノゼの国際空港は2011年に「ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港」と改称されている。

◎ ミネタ氏が関わることでの今後の可能性

 日系社会の重鎮で民主党への影響力も大きいとされるミネタ氏が関わることで、今後事態はどう変わっていくのだろうか。今まで日系人の政治家たちがこの問題に関わることが少なかったことから、より彼らが関わりやすくなる可能性や、その他、今まで無言でいた人たちが声をあげやすくなる可能性もあるかもしれない。

 しかし、いまこの売却問題はより法的な問題になってきている現実があり、政治的な働きかけがどこまで司法措置に対抗できるのかは分からない。ハリス氏は今回の売却を覆すことができないという姿勢を示しているが、今年の連邦上院議員選に民主党から出馬を控える中、彼女が司法措置と政治的な圧力の狭間でどのような動きをするのか注目される。
                       

参加者の声に耳を傾けるノーマン・ミネタ氏

参加者の声に耳を傾けるノーマン・ミネタ氏

【ミネタ氏のスピーチ要旨】

 もともと私はサンノゼで保険のブローカーをしていました。カリフォルニアにインターステートのハイウエーができて、サンノゼの町を通ることになりました。そこで、道路をつくるために居住者たちが立ち退きを命ぜられることになりました。当時のハイウエー・プログラムには居住者たちへの補償はなく、彼らは大変な目に合う羽目になりました。保険業をしていた私は市へ働きかけ、彼らを助けることを考え、市に住宅都市開発局(HUD)を設けました。この問題で1700人にもおよぶ居住者が被害を受けたのです。

 それ以降、私は政治の世界で市会議員から、連邦政府レベルで議員として活動するようになりました。自分たちで声をあげることが難しい貧困層の人たちを代弁する役割を担ってきました。その頃、若い政治家だった私は居住者問題を抱える多くの人たちのために声をあげていました。昔、サンノゼに住むの高齢者のための居住施設の敬老会にも行ったことがあります。私は今年で84歳になりますが、私もようやくその施設に入る年齢にまでなったのだと思います。

 数週間前にジョン・カジから敬老の問題について相談を受けました。南カリフォルニアの日系社会ではいわゆるファウンダーズと呼ばれているジョン・カジ氏の父親であるブルース・カジ氏、ジョージ荒谷氏、フレッド和田氏のような先人たちが高齢者たちが入れる居住施設、および介護施設の建設に奔走されたことを思い出します。ジョン・カジ氏からこの敬老の状況について説明を聞きましたが、特に私が気にしたことは、日系コミュニティー全体が、この売却に関してどのような情報を得て、正確な判断ができる状況にあるのか、それにもまして居住者たちはこの先どのような状況になるかについてちゃんとした説明が与えられているのかについてです。すべての説明を聞きましたが、その説明に納得できないことがたくさんありました。その他の問題についてもいろいろ話を聞き、今日、午前中にチュウ議員と詳細について話をする機会を得たので、この先カマラ・ハリス州司法長官とも直接話をし、法務局はいかにこの問題について対処しているか突き止めようと思っています。今日ここに皆さんと一緒に参加して、敬老を守ろうと声をあげることを誇りに思います。

【ミネタ氏との一問一答】

Q、どうして今、この問題に関わろうと思ったのですか

A、この数週間、どのような動きがあったのかジョンから聞いていました。反対派の集会が今日あるということで、彼らの努力に私の力を貸し、敬老の売却を止めることができたらと思ったのです。本当に売却を止めることができるかどうか分かりませんが、いずれにせよ、敬老の居住者のためにきちんとした対応がなされるべきです。もっと大切なことは、将来的に入居の対象になる人たちへの施設をどうするのかということです。こういった施設をつくることは、とても難しいことで、実際その数は減ってきています。そういった状況があるので、何らかの対応がなされることを望んでいます。

Q、敬老の理事には連絡をしましたか

A、まだしていませんが、これからするつもりです。私の友人の1人が理事で、2〜3週間前に話をしたので、これから他のメンバーとも話をしようと思っています。

Q、敬老の施設を訪問したことがありますか

A、どこにあるかは知っていますが、施設の中に入ったことはありません。しかし私は、サンノゼで住宅都市開発局(HUD)を通じて、日系コミュニティーの高齢者施設をつくることに関わってきました。シアトルやその他のコミュニティーの高齢者施設にも関わってきたので、よく分かっています。しかし、そういった施設が閉鎖される可能性があるケースには関わったことはないので、なんとか力になりたいと思っています。

Q、カマラ・ハリス州司法長官にはいつ連絡をする予定ですか

A、次の月曜(25日)か火曜(26日)に、時間を見つけて彼女に電話をしたいと思います。

Q、司法長官は、売却の認可を法的に覆すことはできないと話していますが

A、彼女は、審査を再開する道はない、と言っています。しかし、私は、クリントン大統領のもとで商務長官を、ブッシュ大統領のもとで運輸長官を務めてきました。その間に、たくさんの扉が開かれるのを見てきたのです。できない、といわれたことでさえも。ですから、挑戦してみます。

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