敬老売却問題:新たなグループ反対運動に加わる

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ガーデナ市議会、中華系、アフリカ系団体も

州司法当局ロサンゼルス・オフィスが入るロナルド・レーガンビル前で、敬老売却反対の人たちの声を聞き、それに答えるタニタ・イバネス上位補佐官(右から2人目)。右から3人目が守る会のモー西田氏。一番右がMLKのクワジ・クルマ氏(写真=マリオ・レイエス)

州司法当局ロサンゼルス・オフィスが入るロナルド・レーガンビル前で、敬老売却反対の人たちの声を聞き、それに答えるタニタ・イバネス上位補佐官(右から2人目)。右から3人目が守る会のモー西田氏。一番右がMLKのクワジ・クルマ氏(写真=マリオ・レイエス)

 敬老売却の反対運動に、「守る会」だけではなく日系以外の他のグループも積極的に関わり始めている。中華系やアフリカ系アメリカ人の団体も加わり、さらに、ガーデナ市議会も反対を決議した。敬老施設の売却が人種や文化的背景に関わらず誰にでも関係がある問題として捉えられ始めている。【中西奈緒、モニエ中地美亜】

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◎街頭デモを実行

 守る会は28日、敬老売却に反対するデモンストレーションを街頭で行った。およそ30人が小東京の日米文化会館に10時に集合。州司法当局のロサンゼルス・オフィスまで練り歩き、当局のタニタ・イバネス上位補佐官に集まったおよそ9700人分の署名を直接手渡し、イバネス氏との会話もなされた。
 このデモを主導した守る会のモー西田氏は、昨年10月に署名を提出した際はジョン・カジ氏が1人で届けにいったこともあり「今回はもう少し目立つパフォーマンスをして署名を届けたいと思った」という。
 参加者は「敬老を守ろう、次の世代のために」や「日系3世、4世も敬老が必要」といったプラカードを持って歩き、当局のオフィスがある小東京に隣接したロナルド・レーガンビルの前では「敬老を売るな」という呼び声を響かせた。

◎新たに3団体が参加

 今回の運動には今まで関わったことのなかった中華系、アフリカ系アメリカ人、日系の3つの団体も参加した。
 その1つは中華系のコミュニティーグループ「チャイナタウン・コミュニティー・フォー・イクイッタブル・デベロップメント(CCED)」。この日、参加したケンウッド・ジュング氏の奥さんは日系人で、敬老問題について西田氏から話を聞き、CCEDは守る会をサポートすることを決めたのだという。
 ジュング氏とCCEDは敬老が売却されるべきかそうでないかのどちらのスタンスも取っていないが、「コミュニティーの声がきちんと届けられるべきだ」と考えているのだという。ジュング氏はもう仕事を引退しているが、1988年から25年間このロナルド・レーガンビルで、エレベーターのオペレーターとして働いていた。
 「ニッケイ・フォー・シビルライツ&レッドレス(NCRR)」からはジャニス・イエンさんが参加した。100歳になるいとこの伯母たちがリトル東京タワーから敬老に入居し、いまはもうお金がなくなったことからメディカルに頼って暮らしているという。NCRRには守る会のチャールズ井川氏と西田氏が説明に訪れ、その後、NCRRとして当局に書状を送ったのだという。
 3つ目の団体はアフリカ系アメリカ人団体の「マーチン・ルーサー・キング・コーリジョン・オブ・グレーターロサンゼルス(略称=MLK)」。マキシン・ウォータース連邦下院議員(民主)のオフィスから連絡があり参加を決めたのは、クワジ・クルマ氏。ヘルスケア市場や公立校などの「民営化」に危機感をいだいているという。
 さまざまな問題に直面しているマイノリティーコミュニティー同士が力を合わせることが大切と考えるクルマ氏は小東京と南カリフォルニアで起きていることは似ていることで「ここには共通した関心事がある」と指摘する。
 「多くの政治家たちは私たちのために闘ってくれません」と話すクルマ氏。だから、ウォータース連邦下議がイニシアチブを取ってくれることはとても幸せなことで、ハリス州司法長官は敬老のことを気にかけているのは日系人だけではない、ということを知る必要があるという。

◎州司法当局、署名を受け取る イバネス上位補佐官

 州司法当局オフィスではタニア・イバネス上位補佐官が当局を代表して署名を受け取った。彼女は大きな声ではなかったが大衆の前で「あなたたちのコメント、そしてパッションに感謝しています」と話し、この問題が解決されることを望んでいると語った。
 参加者のミヤコ・カドカワさんは「どうか公聴会を開いてください」とイバネス氏にお願いし、イバネス氏は「いま関係者たちと話し合いをしているところです」と答え、ジュング氏は「他のコミュニティーも日系人たちを応援しているのです」と伝え、クルマ氏も「当局は他の多くの人たちがこの問題を気にかけていることを知るべきです」と話すと、イバネス氏は「これは難しい状況なのです」と返事をした。
 イバネス氏は羅府新報のインタビューに対し、コミュニティーの人たちのパッションに感動したと語るとともに、当局には許可を取り消す法律がないけれども、いま調停を行っているところで、コミュニティーに満足がいくように全ての関係者たちと話し合って合意に達することを望んでいる。売却条件に対する心配があるが、私たちはいつでも学び成長することはできる。これは学ぶ機会だと捉えている、などと話した。
 今回のデモを主導したモー西田氏は「今日参加した人たちのほとんどは、自分の感情を表現するこういったデモ行動に出たことのない人たち。だから、とても意味のあることだと思う」と話し、イバネス氏に対しては「彼女は冷たい魚のようだったけれど、今は私たちと話をしている」。さらに西田氏は「彼女のいう難しい決断という言葉をまったく信用することはできない」といい、彼女が本当に望むならば当局は公聴会を開くことができるはずだとの思いを話した。

◎ガーデナ市議会もサポート ダン・メディナ市議「不公平だ」

 デモンストレーションに参加した3つの市民団体だけでなく、26日夜にはガーデナ市議会も「敬老を守る会」の活動を支援、敬老4施設の売却を止めるために協力する決議を全会一致で採択したばかりだ(28日付け新聞参照)。
 日系人、日本人が多く暮らすガーデナ市には敬老4施設のひとつ「サウスベイ敬老看護ホーム」がある。同市を選挙区にもつウォータース連邦下議がこの問題に積極的に関わり、14日には市内のファースト・サウザーン・バプテスト教会で記者会見を兼ねた政治集会が行われた。この集会に参加した市議会議員ダン・メディナ氏の支援のもと、ガーデナ市内で不動産業を営む「守る会」のジョン・カジ氏が原案を作成した。さまざまな内容が検討され、議員4人と市長のポール・タナカ氏の5人の全員一致で、26日夜に採択された。
 羅府新報社のインタビューに答えたメディナ市議は、この「不平等」に関わる問題に関わらないではいられなかったと話し、「公聴会を開くことなしに、居住者たちに情報をきちんと伝えることなしにこの売却が決まったことは、あまりにもアンフェアだ」と話した。
 2008年に市議会議員になったメディナ氏は、守る会のジョン・カジ氏だけではなくウォータース連邦下議とチュウ連邦下議とも話をしたのだという。
 「いまウォータース、チュウの両議員やほかの政治家たちと連携して動いている。これは私の市で起きていることで、このことについて全ての人が知っていると確信している」と話し、「私たちは誰かが何かを売ろうとすることを止めることはできないが、市議全員が反対していると伝えることはできる」と語った。
 メディナ氏はガーデナのラス・フローラ・コンバレスセント・ホスピタルがベット数を増やそうとした時に開かれた公聴会と比べながら、「公聴会が必要だった。ラス・フローラのケースでは、私たちは影響が出ると考えられる近隣の全ての居住者たちに、60のベットを入れるのに十分な部屋をつくることを伝え、みんながどう考えているかを私たちに伝えてほしいと伝えた」とし、「こうしたプロセスは敬老でなされるべきだった一つの例です」と語った。

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