敬老4施設:5年後に開発可能に

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売却確定なら 守る会、阻止に向け運動継続

敬老4施設の一つ、ガーデナ市バーモント通りとマリン街の南西コーナーにあるサウスベイ敬老看護ホーム    (写真=石原 嵩)

敬老4施設の一つ、ガーデナ市バーモント通りとマリン街の南西コーナーにあるサウスベイ敬老看護ホーム    (写真=石原 嵩)

 ロサンゼルスを中心とする南加日系コミュニティーを揺るがしている「敬老4施設」の売却問題で、「敬老を守る会」のグループは売却阻止に向けて関係方面への働きかけを継続している。日系社会の有志らによって、高齢者たちが安心して老後を過ごせるようにとの考えのもとに必死になって築き上げ、非営利法人として運営してきた施設が営利企業の手に渡った場合のさまざまな影響については、先行き不透明な状況ともいえる。「敬老」の将来像を憂慮する「守る会」から、これまでの経緯と問題点について見解が寄せられた。その概略は次の通り。
     ◇

 2015年11月24日、カリフォルニア州司法長官はサンフランシスコとサクラメントの事務所から4人の職員をロサンゼルス事務所へ派遣した。敬老を守る会の代表者とマキシン・ウォーターズ連邦下議が提出した、敬老売却に関してなぜ公聴会が開かれる必要があるのか、どうして売却を阻止する必要があるのか、という理由を聴取するためだ。
 司法当局からの内部電子メール通信に、全般的な情報開示が不十分だったことが示されているにもかかわらず公聴会は免除され、人々が意見を述べる機会が実質的に取り上げられてしまった。次いで司法長官は非営利法人の敬老シニアヘルスケアが運営する2つの介護施設、中間看護施設、高齢者引退者ホームを営利目的の不動産開発会社であるパシフィカ社へ売却することを認可した。この売却が、現在そして将来にわたって受けられるはずの質の高いサービスを600人以上の入居高齢者から奪ってしまうことになるのか、その理由を「守る会」は次のように説明している。

①5年後には自由な開発が可能に
 司法長官は買い手(パシフィカ社)に対して、基本的な入居費を1年間だけ据え置きすること、また施設を介護、中間看護、引退者ホームとして5年間運営することしか要求していない。5年経つと、この不動産開発会社は最大限の利を得るために所有地を自由に開発することができる。

② 問題の多いパシフィカ社・ノーススター・アスペン運営の高齢者施設
 司法長官の電子メールによると、敬老は免許と営業が停止された会社に施設を売却しようとしている。どうして敬老は、免許が剥奪されて営業停止の措置が取られた会社に施設を売るのか。敬老を守る会は、パシフィカ社の営業停止命令について司法長官に文書での説明を求めたが、未回答のまま。敬老を守る会が入手したパシフィカ社・ノーススター・アスペン運営の施設に関する公式書類によると、パシフィカ社のノースカロライナ州ウィルミントンにある施設は、2階の窓から落ちて重傷を負った居住者に対する監督不行き届きの罰金で7000ドルを支払わなければならなかった。同施設は居住者に2度にわたり、点耳剤を目にさしたことで罰金1000を支払っている。
 パシフィカ社のカリフォルニア州サンレアンドロにあり現在ノーススターが運営する高齢者施設では、たび重なる違反で民事罰金8450ドルを課せれた。さらにカリフォルニア州リバーウッド・ストックトンのアスペンが運営する施設で、脳の損傷からくる四肢麻痺と骨粗鬆症と診断された患者が、栄養補給チューブと尿道カテーテルをつけたまま、原因不明による膝の骨折で救急治療室に運ばれた。司法長官はどうしてこの売却を承認したのか。

③ 安く売り急がなければならない理由とは
 敬老は、その所有地と施設の適正な価値を確保しようとしていない。また司法長官は独自に適正価格を分析することを怠った。パシフィカの提示購入価格は、16カ月以上前の古い鑑定に基づいて急いで受諾された。ボイルハイツの不動産価値は上昇を続けており、新たに開発できる土地はほとんどない。敬老は、その前年に司法長官が無効にしたエンザインへの売却価格より300万ドルも低い価格を受け入れた。法改正により、2015年10月以降は司法長官が公聴会を免除できなくなったため、敬老は売り急いだのか。

④報われない敬老の現従業員
 不動産取引が完了すると同時に、敬老の従業員は解雇される。再雇用されてもこれまでの年功権は失われ、勤続年数が1年加算されるだけ。敬老も司法長官も、敬老の大切な従業員たちを全く保護していない。

⑤営利企業に運営できるのか
 非営利法人は、営利会社には期待できないようなサービスが提供できるからこそ存在している。敬老は過去50年間コミュニティーの支援があったからこそ存続してきた。医療改革がもたらす経済的、商業的な影響だけが敬老の売却を正当化する要因にはならない。アスペンとノーススターが寄付もなくパシフィカ社にリース料を支払いながら、サービスの質を落とさずにどうして利益を出せるのか。居住者にとって日本語が通じ、日本文化に配慮したケアに代わるものはない。

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 敬老を守る会特別委員会からの詳しい情報はwww.savekeiro.orgで見ることができる。

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