一緒に成長するには

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 この時期、コミュニティー欄はさまざまな団体の新年会の記事が多くなる。日系社会からの購読料、広告料、長年の信頼に支えられている小さな新聞社。みなの期待に応えられるよう、最低賃金で働く数人の記者たちが休み返上で奔走する。
 日系移民社会にとって、毎年の恒例行事というのは大切な意味合いを持つ。同郷の人たちや同じ趣味を持つ人が集まって安らぎを感じたり、団体の存在意義を確かめ合ったりする。
 過去に書かれた原稿を読むと興味深い。毎年同じような内容と構成だ。キーワードは「若い参加者」「新会員」「後継者」「高齢化」など。ある団体の男性は冗談を交えて言った「去年の記事をちょっと変えればいいんじゃないの」と。確かに、写真を送ってもらって電話取材をしたり、記事を投稿してもらうことでも対応ができそうだ。
 新聞社の本来の役割は、人々の役に立つ「ニュース」を伝えることにある。柔らかい話題から堅い話題まで幅広く、そこに暮らす人たちが知りたいこと、知っておいた方がいいことなどを分かりやすくタイムリーに。また、投稿という形でコミュニティーの人たちが自ら発信したいことを発信する場でもある。
 残念ながら多くの団体は、これといった工夫や見せ所「ニュース」がないまま、取材を依頼し、毎年同じイベントを開催する。そして「若い会員を増やすのが大変」とインタビューで話し、記事が掲載されたという事実に満足する。団体を発展させ、若い人を引きつけることはなかなかできない。
 記者はジレンマを抱えることになる。腰をすえて取材すべき話題はこの社会にたくさんある。特に、人の生活や命に関わる問題は優先されるべきだ。しかし、時間的にも体力的にも、本来勝負すべきところで勝負することが難しい現状がある。これはコミュニティーにとってもマイナスではないだろうか。
 私たち記者は「取材をさせてもらっている」という謙虚な気持ちを忘れてはならない。それと同時に、取材を依頼する団体も「取材されて当然」ではなく、自分たちなりの工夫や努力で、記者を強く引きつけてもらいたい。
 そういった努力の過程があって初めて各団体は発展し、記者もより社会の役に立つ、示唆に富んだ読みごたえのある記事が書けるのではないだろうか。【中西奈緒】

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