不思議な選挙システム

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 共和党と民主党は、7月それぞれの党大会で大統領代表候補を選出する。それに向けて全米各州でしばらく予備選挙、党員集会が続くが、そのルールが極めて複雑で奇妙である。有権者は、大統領候補の指名投票を事前に誓約(pledged)した地元地区の「デリゲーツ(Delegates)」と呼ばれる代議員に投票する。代議員が選挙人になるので、いわゆる間接投票方式だ。
 しかし、誓約したにも関わらず、代議員が別な人を選んだ投票や、誰も選ばなかった投票を『Faithless Elector(「不誠実な投票」と取りあえず訳す)』といい、29の州とワシントンDCで、その行為は法律で罰せられる。オクラホマ州やワシントン州では民事罰金1000ドルが科せられ、ニューメキシコ州は第4級の重罪だ。ミシガン州は無効とされ、当人は任務の辞職を義務づけられる。
 しかし、法律で規定されてない州もある。つまり土壇場で自由に鞍替えしてもいい…? これまで実際に刑罰された場合はないようだが、1787年選挙人団システムを取り入れて以来、『Faithless Electors』は157票起き、うち71票は候補者が死亡したケース。その他は意図的かミスによるものとされている。この行為によって選出結果に影響されたことはないらしいが、それにしても不思議な習慣であり奇妙な規則だ。
 基本的に民主党は、候補者が獲得した票数に応じて最後まで比例分配(Proportional)される。それゆえ2位でも出来るだけ多く得票するのが重要だ。さらに全体の15%を占める「スーパーデリゲーツ(Superdelegate)」と呼ばれる「特別代議員」が存在する。簡単に言えば党で力を持つ者が自由に投票するのだが、党大会までいつでも誓約を表明でき、変更も出来る。これも何となく奇妙だ。共和党も当初は比例分配だが、得票数1位の候補者が全部の代議員数を獲得する勝者独占方式(Winner-Take-All)システムも州によって採用される。双方を組み込んだhybridシステムもある。
 投票方式も「closed」「open」「mixed」があり、各州、各党によって、独自の選挙方式を編み出している。とにかく過半数を得票した者が代表候補に任命されるのだが、複雑な選挙システムだ。言い換えれば、民主主義に対する熱いアメリカの精神が反映しているともいえるだろう。【長土居政史】

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