住民代表し立ち上がった日系女性:ポーターランチガス漏出事故②

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ガス漏出問題に立ち向かう日比野恭子さん。後方に見える山の向こう側に漏出が今も続くSoCalGasの施設がある。日比野さんの自宅は施設から最も近い10軒のうちのひとつ

ガス漏出問題に立ち向かう日比野恭子さん。後方に見える山の向こう側に漏出が今も続くSoCalGasの施設がある。日比野さんの自宅は施設から最も近い10軒のうちのひとつ


 「今は息を吸うことすら恐い。いつになったら安全な生活を取り戻すことができるのか―」。米史上最大の環境災害となったSoCalGasのガス漏出事故。住民を代表し立ち上がったひとりの日系女性、日比野恭子さんはポーターランチの自宅でこうつぶやいた。【吉田純子、写真も】

 この日、日比野さんの自宅にはガス会社から派遣された業者が自宅内へのガス侵入を防ぐための作業を行っていた。作業員たちは細長いスポンジを玄関のドアの隙間に埋めていく。その様子を不安げな様子で見つめる日比野さん。「果たしてこれでどのくらいの効果があるのだろう―」。窓や煙突には何の処置も施されなかった。
 現在、日比野さんはノースリッジのレントハウスで避難生活を送っている。その前はバーバンク市内のホテルで約1カ月半生活した。費用はガス会社が負担し、転居先は住民が選ぶことが出来る。しかし現在、サンファナンドバレーのアパートには避難者が殺到し、空室を見つけるのが困難な状態が続いているという。
 「たまに荷物を取りにポーターランチの自宅に戻ることがあります。しかし1時間もしないうちに頭痛が始まり、呼吸が苦しくなるのです」
 昨年10月23日の事故発生後から鼻血や頭痛、息苦しさ、動悸(どうき)などの症状に悩まされてきた。発生から1週間後の同月30日、日比野さんは鼻血のほか心臓の鼓動が急に激しくなり近所の救急救命室(ER)に駆け込んだ。5匹いるペットの猫のうち、2匹にも鼻血や嘔吐、下痢などの症状が出た。転居先ではこうした症状は現れない。
 「たまに夜、風が吹くとガスの臭いがする時があるのです」。これまでに南カリフォルニア大気環境管理局には施設から異臭がするとの住民からの苦情が1600件以上寄せられている。日比野さんの自宅は施設からもっとも近い10軒のうちのひとつ。向かいの家にはUCLAの研究者から依頼された計測器が置かれている。自宅付近には同局の計測器も設置されている。
 これまでのメタンガス漏出量はおよそ9万トン。今では政府機関や地元の研究機関だけでなく、ボストン大学をはじめ全米の研究者やNPOが調査に乗り出している。
 音楽プロデューサーであるパートナーのマット・パクーコさんはポーターランチの自宅内にあるスタジオが仕事場だ。現在、転居先から毎日ポーターランチに通い仕事をしている。自宅ではガス会社から提供された空気清浄機3台を24時間稼働させている。
 事故後、クライアントをスタジオに呼ぶことができず、仕事は激減。「事故発生前と比べ仕事は約50%減少しました。2、3時間もすると症状が現れ長時間作業をすることができません。しかしそれでも生活のため働かなくてはなりません。こうした状況でも自宅に戻って仕事をするほかないのです―」(続く)

業者が自宅の玄関ドアにガス侵入を防ぐ作業を行う様子を見守る日比野さん=1月30日

業者が自宅の玄関ドアにガス侵入を防ぐ作業を行う様子を見守る日比野さん=1月30日

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