南加神奈川県人会: 「日系人と日本人」が心地よい新年会

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フランク川瀬会長、7年目スタート!

神奈川県からの移民の歴史が書かれた冊子「南加神奈川県人会住所録」を紹介するフランク川瀬会長

神奈川県からの移民の歴史が書かれた冊子「南加神奈川県人会住所録」を紹介するフランク川瀬会長

 新1世の戦後移民たちが中心となって日本語で運営されることが多い39ある南カリフォルニアの県人会。神奈川県人会はその中でもまだ少ない、英語を話す「日系3世」が中心となって運営されている会だ。

 そんな神奈川県人会の恒例の新年会がこのほど、トーレンス市のレストラン、カーソン・ブッフェで行われた。会員やゲストおよそ40人が集まり、わきあいあいとしたアットホームな雰囲気の中で新年を祝った。

 新会長に内定していたボブ植田さんが病気療養中のため、今年も会長を務めることになったフランク川瀬さんは「106年という素晴らしい歴史のある神奈川県人会。これからも会を創設した先駆者たちの思いを大切に頑張っていきたいと思います」などと英語であいさつし、熊谷龍男さんが日本語への通訳を担当した。

 また、川瀬会長は「南加神奈川県人会住所録」という神奈川県からの移民の歴史が日本語で書かれた冊子を紹介。これは1976年にこの県人会が「米国建国200年記念号」として発行したものだという。いまやおよそ200人いる会員のうち80パーセント以上が英語を中心に話す日系人であることから、会員が自分たちのルーツを知るためにも冊子を英語に翻訳する必要があると話し、現在すでに翻訳作業が進められている。

 会には昨年に引き続き、堀之内総領事のザビーン夫人も出席。神奈川県の相模原市で2人の子どもを産み、長く県内で生活していた経験のある夫人は、県にちなんだクイズを日英両語で出題。一番多く正解した参加者に出身地オランダのクッキーをプレゼントした。

 長年にわたって会に貢献してきたメンバーへの功労賞は、武市トムさんと治子さん夫妻が受賞した。2人とも戦後移住の新1世で、長年の県人会メンバー。元会長でもあるトムさんは1958年に移住して高校、シティーカレッジ、そしてUSCの建築学科を卒業。その後、鹿島建設に務めていた。治子さんはトムさんが一時帰国した時に日本で出会って結婚。1968年に渡米し、トムさんと一緒に鹿島建設で働いた。また、草月流華道などを通じて日系人をはじめ多くの人たちに日本文化を伝えている。

 今回、新しいメンバーとして在米歴45年のカズコ・ハリスさんが参加した。ロサンゼルス在住のカズコさんは「私は東京出身なのですが父親が横浜生まれで、昨年10月にお墓参りに行きとてもいい町だなと思っていました。そんな時ちょうど羅府新報のお知らせ欄でこの新年会を知って参加することにしました。この会のメンバーはみなとてもフレンドリーで居心地がよく、また何かイベントがあれば参加したいと思っています」と話した。会の最後にはメンバー全員で大ビンゴ大会。たくさんの賞品が用意され「ビンゴ!」と声があがるたびに歓声がわいた。

 川瀬会長は「神奈川県人会は英語を中心に話す日系人の割合が多くなってきています。どこの県人会でも、その他の組織でもそうですが日系人と日本人の関係には溝があって、その溝を埋める答えはまだ持ち合わせていません。育ってきた文化が違うわけですから、それは仕方のないことだとも思っています。他の人種と結婚して、新しい世代となり日本とのつながりが薄くなっている人たちを引きつけることも容易ではありません。私が大切に思っていることは会に一緒に参加して、同じ場所にいて、そして楽しむこと。みんなが心地良いと思えば、日系人と日本人が別々のテーブルに座るのだっていいと思います。これがひとつのステップで、これで十分なのだと思っています」と話した。

 来年の会長に引き続き内定しているボブ植田さんの体調は順調に回復しており、新年会に顔を見せた。ボブさんは南加県人会協議会の会長に今年、日英両語を話すジョージ森さんが就任したことに期待を寄せている。いまだ日本人・日本語中心であることが多い県人会にとって、両者の懸け橋となりうる人がリーダーシップをとることはとても大きい意味があると考えているようだ。

 神奈川県人会のメンバー構成は県人会の中でもユニークで、どこの県人会でも迎えつつある高齢化、世代や文化の違い、言葉の問題を先取りしているともいえる。川瀬会長や理事たちはいまあらためて、今後の神奈川県人会のあり方、方向性、たとえばどのように日系人と日本人、あるいは世代間のコミュニケーションを図り、少しでも壁を取り除いていけるかの話し合いを進めようとしている。また、少なくなっている新1世の会員をどう増やしていくかも課題のひとつだ。

 そんなさまざまな課題と真摯に向き合っていく「実践の場」ともいえるイベントが、今年も満載。今年の予定として、2回のペチャンガ・カジノトリップ、夏のピクニック、そして、秋には新しい試みとして日本酒を楽しむ「酒テイスティング」イベントを開催しようと計画中。現在進められている「南加神奈川県人会住所録」の英語翻訳も完成させる。また、長期的なスパンで取り組むものとして、4年後の2020年に向けて「神奈川県ツアー」を行うための準備に取りかかるという。【中西奈緒、写真も】

功労賞を受賞した武市トム、治子夫妻とフランク川瀬会長(右端)

功労賞を受賞した武市トム、治子夫妻とフランク川瀬会長(右端)

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