生きる使命

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 わが家の庭には一本の桃の木が植えられており、毎年この時期になると静かに桃色の花を咲かせます。苗木が植えられた頃には、葉だけの様相で観賞することもありませんでしたが、ここ数年は見事な花を咲かせて、春の訪れを伝えてくれるのが、この桃の木です。
 ところで、どんな事にも理由があることを信じています。失敗をしたことも、病気をしたことも、今この時に生きていることさえも偶然ではなく、何か理由があってのことだと考えています。例えば、しくじったり、物事がうまく行かない時があります。生きていればそのようなことは何度でも訪れます。しかしながら、うまく行かない時は自分を引き上げる時です。壁を乗り越えるべき時です。つまり自分が人間として成長する時なのです。ですから、うまく行く時より、うまく行かない時が自分にとって大切な時期なのです。病気で短い人生を全うした人にも、立派に生きた使命が必ずあるのだと信じています。誰もが自分を成長させ、自分がなぜ、何の役に立つために今を生きているのかを意識する必要があります。
 明日が必ず訪れると思っている人は、今日を無駄に過ごしてしまいます。今日が最後の日かもしれないことを常に頭に浮かべて、今を過ごすべきなのです。一日を無駄がないように、自分らしく一生懸命過ごす。人の悪口を言う時間ではなく、人の喜ぶ顔を見る時間が長い方が、間違いなく満足の多い幸福な一日となるはずです。その一日、一日の積み重ねが一年となり、一年の積み重ねが一生になります。そうであれば、今の一瞬一瞬を充実した思いで過ごすことが、私たちに与えられた生きる使命になるのではないでしょうか。
 良い成績を修めることも、良い学校に入ることも必要かもしれませんが、大切なのは自分の使命を感じ、自分らしく一日を生きていることなのではないでしょうか。一年で数週だけ咲くことを使命とするわが家の桃の木を見て、そんなことを考えました。人生の最後の一日に、あなたは何をしますか。
【朝倉巨瑞】

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