障害者の支援話し合い会議:加州規模、延べ600人参加

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障害者が平等に教育を受ける制度のセミナーに参加する、手をつなぐ親の会のメンバーら

障害者が平等に教育を受ける制度のセミナーに参加する、手をつなぐ親の会のメンバーら

 障害者に関する認識を高め、保護、支援を目的としたカリフォルニア州規模の会議がパサデナのホテルで開催され3月18、19日の2日間で延べ600人が参加した。今年は、1990年に制定された障害による差別を禁止する「米国身障者法(ADA)」から25周年記念にあたり、その意識の高まりに期待が寄せられ、参加者はそれぞれの議題に沿い、活発な議論を交わした。

 20年前に始まった会議は今回で5回目で、主催する「APIDC」(Asian and Pacific Islanders with Disabilities of California、パトリシア・キナガ会長)は、アジア・環太平洋諸島系の障害者支援を専門に扱う非営利組織。キナガ会長によると、その活動は3者—①障害者である当事者とその両親②州に代表される公的サービスの提供者③地域社会活動団体(日系ではリトル東京サービスセンターなど)をつなぎ、障害者の声を集めて他に届け、生活の向上に役立てることを目的とする。

パネルディスカッションで総括するキナガ会長(右端)

パネルディスカッションで総括するキナガ会長(右端)

 障害者は、進学や就職、医療保険の申し込みなど、それぞれの過程で障壁が多く、差別を受けることもあるため、健常者が経験したことのない困難があるという。さらに、アジア系の障害者とその親は、少数民族というハンディに加え、不得手な英語の問題、さらには文化的に控え目な性格であるために、受けられるサービスをためらうなどし、せっかくの機会を逃すこともあるという。APIDCはこうした社会的弱者を救おうと、各少数民族のコミュニティーと協力し、母国語で相談に乗っている。
 会議には、身体、知的、精神のそれぞれで障害を持つ人々が参加した。車椅子に乗った人や、白い杖をついたり盲導犬を連れた視覚障害者、聴覚障害者には手話がつけられた。障害の種類はさまざまで、またその重さも個人によって異なる。キナガ会長は「こうしたさまざまな障害者が一堂に会するのがこの2日間の会議。障害者と家族、各専門家が参加し『ワンストップ・ショッピング』のように多くの重要な情報を得ることができるのが特徴」と説明する。
 講師は90人に上り、州、郡、市の担当者や、大学教授、各学校区の教育委員、弁護士、セラピストなど各分野の専門家が分科会で登壇。公民権や進学サポート、ヘルスケアなど、さまざまなテーマを基に話した。聴衆も意見を述べ、ある教育者は「障害者に接する上で知らないことが多く、セミナーに参加し、とても勉強になりありがたい」と語り、他のセミナーでも同様に謝意を述べる参加者が見られた。会場には32ブースが並び、各種サービスを提供する非営利団体や、ヘルスケア、補助用具などを扱う民間の企業が参加した。
 障害者の子どもを持ち、日本語を話す親たちで構成する「手をつなぐ親の会(JASPACC)」は、ブースを出して活動の周知を図るとともに、メンバーはさまざまなセミナーに参加し知識を深めた。親たちは、子どもたちのための各種サービスやベネフィットを理解し活用しようと、メモをとったりスライドのスクリーンを写真に撮るなど懸命だった。
パネリストに質問する健常者の参加者

パネリストに質問する健常者の参加者

 会で20年間以上活動する山田香苗さんは、27歳の息子は就学を終えたが「障害者は、特に教育を受ける権利が重要」と力を込め、他の若い母親たちとともに、障害者が健常者と平等に教育を受ける権利についてのセミナーに参加した。初めて受ける参加者には、専門用語などもあり理解が難しいため、山田さんは経験を生かして他のメンバーに説明していた。助け合うその光景はまさに「手をつなぐ親たち」そのもの。ADAが制定されて25年がたつが、山田さんは「法律は完璧ではないので、一般の人が意識を高めてもらわないと障害者の社会参加はありえない」と指摘するとともに「障害者のニーズを伝えることも重要で、このカンファレンスはその目的もある」と、参加の意義を説いた。
 キナガ会長によると、1998年の団体設立当時は、アジア系の障害者を擁護する団体が必要だったという。「障害者の職業訓練などを行う団体とは異なり、障害者を法的に保護し、権利を主張するわれわれの役割は今も変らない。アジア・太平洋諸島系の障害者に特化した専門的なプログラムを持つ、われわれのような団体はカリフォルニア州にはここだけで、全米でも他に類はないだろう」と強調。同会議については「社会が開催の必要性を感じて、多くのパートナーが参加し協力を得られてうれしい。今は2、3年に1度の開催だが、もっと頻繁に行うことができればいい」と希望する。今後の活動については「一般の人々にアジア系の障害者について理解を求めるとともに、障害者を支援する各界での次世代のリーダーの育成にも力を入れたい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】
各界のエキスパートを招いて開かれたパネルディスカッション

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