ロサンゼルス郡:「敬老」調査に乗り出す【下】

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売却プロセス、公共の福祉、居住者の安全などに懸念

 ロサンゼルス郡のスーパーバイザー(参事官)が、敬老4施設の売却に関して懸念があると判断し、「消費者ビジネス局」「郡評議会(法律顧問局)」「公衆衛生局」に調査を命令した。これにより今後、どのようなことが調査されるのかヒルダ・ソリス議長に聞いた。【中西奈緒】

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動議を提出したスーパーバイザーのヒルダ・ソリス議長(手前)

動議を提出したスーパーバイザーのヒルダ・ソリス議長(手前)

 4月12日に開かれたスーパーバイザー定例会議では、ソリス議長とマーク・リドリ―・トーマス副議長から共同で「敬老4施設の売却について、そのプロセスおよび公共の福祉、居住者の安全に関して懸念がある」ことについての動議が提出された。コミュニティーから10人のメンバーが動議への賛同を示す証言をした後、直ちに動議は採決され、可決された。

 「敬老シニアヘルスケアの施設売却に関する分析」と書かれた動議書は、敬老4施設に関する説明や、この半年間にわたって多くの政治家やコミュニティーのメンバーがカマラ・ハリス州司法長官に「売却延期と公聴会の開催」を求めた経過などについて触れ、「売却プロセスが不透明であったことや、入居費の据え置き期間が1年のみであること、現在の運営状態が維持されるのが5年間のみであるなどの州司法長官が提示した売却条件が十分ではないことについて懸念がある」とした。また、「カリフォルニア州公正雇用住宅局が、居住者に対する差別があるという申し立てについて実態調査を進めている最中でもある」と記述された。

 
 動議が採決され、可決されたことで、以下の4つのことが決定事項となった。

①敬老シニアヘルスケアの居住者の福祉と安全は「公共の利益」に関わることである
②ロサンゼルス郡の「消費者ビジネス局」に対し、「郡評議会(法律顧問局)」「公衆衛生局」と協力しながら、売却プロセスにおいて不正があったという申し立てについて調査するよう命ずる
③「公衆衛生局」に対し、敬老シニアヘルスケア4施設の半径5マイル以内にある他の看護ホームに関する情報、すなわち、それらの施設が居住者の必要とする複数の言語ニーズに対応しているか、また高齢者の社会的要望にいかに対応しているかについて、実例に基づいた調査の分析結果を60日以内にスーパーバイザーに報告することを命ずる
④ロサンゼルス郡のCEO(最高業務責任者)に、ハリス州司法長官に送る5人のスーパーバイザーの署名入り書簡を用意させる。その書簡は長官にロサンゼルス郡の住民を守るよう要求するもので、敬老4施設の売却条件が遵守されているかきちんとモニターし、その執行を保障し、コミュニティーが適切に施設を監視するために必要かつ十分な資料を提供させる。

 ソリス議長はさらに、以下のことも調査中であることを羅府新報に説明した。

①カリフォルニア州公正雇用住宅局が行う、精神的・感情的な苦痛も含めた、居住者の障害や人権への違反についての調査
②敬老は施設の基本財産とするという目的で寄付金を集めながら、施設売却を計画していたことを伏せていたことは、寄付をした人たちに対する組織的・計画的な詐欺にあたるという申し立てについて
③公聴会の開催義務がハリス州司法長官によって放棄されたこと、そして、敬老理事会側から居住者やスタッフたちにきちんとした情報が開示されてこなかったという懸念について
④敬老4施設でスタッフたちの権利が守られていなかったという懸念について
⑤ハリス州司法長官によって設置するように命令されたコミュニティー諮問委員会(CAB=コミュニティー・アドバイザリー・ボード)が適切に機能していないという懸念について

共同提案者のマーク・リドリー・トーマス副議長(右)

共同提案者のマーク・リドリー・トーマス副議長(右)

 ソリス議長は「これらだけでなく、その他の申し立てついても検討し、詳しく調査し、その調査結果によって次の適切な行動を指示していく」とし、「敬老の居住者たちがロサンゼルス郡当局から質の良いヘルスケアサービス受けることができるということを保証したい。ロサンゼルス郡がコミュニティーを支援するために、どのようにその資源を使うかを決めるためにいま動いているところだ」という。

 その一方で、敬老の売却に関して、ロサンゼルス郡スーパーバイザーたちが実際にどれほどの影響力を持っているのかという疑問も残る。

 動議を共同提案したトーマス副議長は「ロサンゼルス郡がこの敬老問題に関してできることは限られている」と話すが、ソリス議長は別の見方をしている。

 議長は「スーパーバイザーは非営利団体の不動産取引に関して直接的な司法権は持っていない。それは州司法長官が持っているもの。しかし、私たちはロサンゼルス郡に住む人たちの健康や福祉を守る責任がある。彼らのニーズをサポートするために郡当局の資源と調査の権限を使おうとしている」とし、「ロサンゼルス郡が価値ある、尊敬すべき、弱い立場にたたされる可能性のある敬老の居住者たちの世話をする一端を担おうとしていることに、今回の動議を可決したことの意義がある」と明言する。

 今回の動議の可決について、非営利団体「敬老シニアヘルスケア」理事長のゲリー川口氏は「このように日系社会がいまだに分断し続けていることに失望している。私たちの望みは、コミュニティーのメンバー、各種団体、アスペン社、ノーススター社、パシフィカ社とともに働き、前に進んでいき、コミュニティーの高齢者たちの生活の質を向上させていくことだ。私たちの目的は、居住者のために4つの施設をいい状況にしておくこと。敬老は高齢化するコミュニティーの需要にあうようにいまも関わり続けていて、貴重で限られた資産のよき管理人であり、将来のプログラムに関して思慮深く計画的なアプローチで高齢者たちの健康、福祉、生活の質を向上させるための投資をすることを保障する。私たちは日系アメリカ人へのサービスが続くようサポートし、コミュニティーの高齢者や介護者の需要に応えるプログラムを拡大させていこうとしている」とコメントしている。

 本紙は、現在進められている調査のプロセスや進行状態についてヒルダ・ソリス事務所や、今回の調査を主に取り仕切る「消費者ビジネス局」と常に連絡を取り、これからも漸次、新しい情報を伝えていく。(写真=マリオ・レイエス)

2015年9月からの敬老売却関連記事は日本語と英語でこちらから

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