魅惑のやすらぎ

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 とても疲れたとき、一人で駆け込める場所はコリアタウンにある。そこは、肌の色の違うさまざまな女性たちが真っ裸で集い、思い思いにくつろげるいわばパラダイスだ。
 「このお風呂熱いね」「他にはどんなお店がオススメ?」なんて、見知らぬ女性たちと湯船につかりながら会話できるのも心地よい。
 ロサンゼルスのコリアタウン。ここには大小、そして、客の年齢や人種もさまざまな「スパ」があちこちにある。家族やカップルで行けるところもあれば、女性専用も。
 日本で例えるなら「スーパー銭湯」、ひと昔前の「健康ランド」。「テーマパークのような銭湯」という表現の方が分かりやすいかもしれない。
 コリアンスパにはお風呂やサウナだけでなく、いろいろな種類の岩盤浴(チムジルバン)、韓国式アカスリ、マッサージやネイルなどのサービスも手ごろで豊富。
 韓国伝統の床暖房「オンドル」の上でごろりと横になって気持ちよく昼寝もできるし、韓国料理も楽しめる。
 もともとは韓国系の人たちの風呂場であったコリアンスパ。いまや健康志向のハリウッドセレブたちも注目するようになり、幅広いファンを獲得している。
 ある大型人気店のスタッフは、「アメリカの人たちも人前で裸になる風呂文化にだんだん慣れてきた」ことが人種の多様化や人気に拍車をかけているという。
 そんなコリアタウン、1970年代までは日本人が多く住んでいた地域も含んでいる。60年代以降に韓国からの移民が増え、日本人が住んでいた地域にだんだん流入したわけだ。日本人は転出し、80年代に入ってからは次第にコリアタウンとして知られ、繁栄するようになった。
 いまや韓国系の人たちは、よりグローバルなロサンゼルスでうまく流行の波にのり、人種や年齢を問わず多くの人々をコリアタウンへと引きつけている。
 スパだけでなく、カフェ、レストラン、バーなど、新移住者の私にとっても居心地のいい空間を提供してくれるのは嬉しい。
 遠くない昔、多くの日本人が暮らしの場とした地域のいくつかは、いまはコリアタウン化した。いまを生きる私は、そこへ足しげく訪れて恩恵を受けている。【中西奈緒】

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