ご退位の報に思うこと

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 天皇陛下が生前退位の意向を示されているという。江戸時代以降200年来、生前の譲位は例がないため、皇室典範の改正など法整備を行う必要があり、政府が調整に入ったとの報道があった。
 最近、ニュースを見ていて、以前にもまして、一歩一歩確かめるように歩かれる両陛下の姿が気になっていた。
 それでも、熊本の被災地を訪問された時、陛下が被災者に近づいて、さっとひざまづかれたのを見て、初めて気付いたことがある。〈普通、82歳の人はこうはいかないだろう〉と、自分について言えば、情けないことだが、この頃はタンスの低い位置の引き出しの開け閉めが、苦痛になっている。一度かがんでしまうと、一気に立ち上がれない。80歳を越えた両陛下がそれを平気でなさっていて、今更ながら、若い時には見えない風景があることを知った。さすが、テニスで鍛えられてるせいかと感心させられた。
 とはいってもご高齢ではある。前立腺がん手術、心臓バイパス手術などしておられるし、体調も万全ではないだろう。年々ご公務が負担になってきている上に、近年ご病気がちの美智子妃殿下のことも気遣ってのご意向ではないかとお察しする。
 お妃を平民から選ばれたのも陛下の強い意志からだった。御成婚の会見で有名になった「ご誠実で、ご立派で…」の言葉より「よりよい自分であるように努力したい」と表明された美智子さまのお言葉が、当時高校生だった私の心を打ったことを思い出す。
 エリザベス女王が今年90歳を迎えた英国でも、このニュースは関心を持って取り上げている。チャールズ皇太子も67歳、日本の問題は人ごとではないようだ。王制の国では、オランダのベアトリクス女王は74歳で、ベルギーのアルベール2世は79歳で、いずれも2013年、高齢を理由に退位していると聞くと、時代の流れを感じる。
 陛下は長年、習慣にとらわれない、新しい皇室のかたちを目指してこられた。今回また、変革の一石を投じられたように感じる。
 皇太子が継承されるのだろうか。雅子さまは大丈夫なのだろうか。いずれにしてもなかなか簡単ではないようだ。【中島千絵】

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