不法移民の取り締まりを行うICE職員(ICE提供)

 トランプ政権が不法移民の強制送還の対象を広げ、取り締まりを強化する方針を発表したことを受け、ロサンゼルス市のエリック・ガーセッティー市長らは23日、取り締まりを行うアメリカ国土安全保障省の移民税関捜査局(ICE)に対し、同局職員が取り締まりの際、「警官」と名乗るのをやめるよう促す書簡を送った。【吉田純子】

 先日、ロサンゼルス・タイムズ紙で、ICE職員が不法移民を取り締まる際、「警官」と名乗っていることが報じられたことを受け、ガーセッティーLA市長をはじめ、同市のマイク・フォイヤー法務官、LA市議会のハーブ・ウェッソン議長が書簡に署名した。
 書簡には「ICEの取り締まりは、移民が多いLAのコミュニティーで、人々が強制送還を恐れることなく警察に情報提供したり、犯罪を通報できるよう、ロサンゼルス市警察(LAPD)が長年培ってきた信頼を崩すものである」としており、ICE局長に対し、同市での不法移民の取り締まりの際、ICE職員が「警官」と名乗るのを直ちにやめるよう促している。
 トランプ大統領は1月25日に不法移民対策に関する大統領令に署名。履行に向け、国内におよそ1100万人いるとみられる不法移民の取り締まり強化を訴えている。
 今月上旬にはLAをはじめニューヨークやシカゴなどで不法移民の一斉摘発が行われ、680人以上が逮捕された。
 さらに今月21日には強制送還の対象を拡大し、ほぼすべての不法滞在者を送還の対象とする新たな指針が発表されたばかり。
 LAは不法移民に寛容な「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」として知られる。
 聖域都市はほかサンフランシスコやNY、シカゴ、ボストン、シアトルなど全米に約300あるとされる。
 こうした聖域都市では、警察官が市民に在留資格を確認することを許可しておらず、不法移民を取り締まる連邦当局への協力も拒否している。
 LAPDでは1970年代後半から、警官が市民に接触し、在留資格を確認することを禁止している。

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