二つの証人喚問

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 石原前都知事の百条委員会での証人喚問。どれだけの真実が解明されるかと期待したが、何のことはない、記憶にございません、覚えていません、で片付けられてしまった。冒頭に「2年前に脳梗塞を起こし、平仮名も忘れてしまった」と陳述する証人に何を聞くべきなのか、お手上げの感がある。その一方で、豊洲への移転を遅らせている現知事の「不作為の責任が問われるべき」との攻撃的発言。何カ月か前には喜んで証言すると言っていたはずだが―。「記憶にございません」が一世を風靡したのはロッキード事件でだったと思う。もう41年前のことだ。
 もうひとつの証人喚問が三日後の3月23日行われた。森友学園の小学校建設にからんで国有地払い下げに疑義が出たからである。これも論点がぶれないか心配していた。
 というのも、事前に現地調査に訪れた野党4党の議員とTVカメラの前で、森友学園の籠池理事長が突然、安倍首相から100万円の寄付を受けたと、問われもしないのに言明したからだ。野党もメディアもそれっとばかりにそちらに飛びつき、結局、喚問では肝心の8億円の値引きや金額の違う三つの工事契約書などの質問には「刑事訴追を受ける可能性があるので答えられない」といなされてしまっている。
 昭恵夫人が100万円を手渡したのかどうかは定かでないが、貰ったと言う方が証拠を提示しなくてはならないのではないのか。
 森友学園が経営する幼稚園の園児たちが教育勅語を大声で暗唱し、安保法成立してよかった! と口を揃えて言う様子をテレビニュースで見て、その異様さに言葉を失ったが、これを立派な教育方針、躾ととるむきもあるらしい。教育勅語を否定するつもりはないが、年端も行かぬ幼児に「朕惟フニ…」と叫ばせて、どんな情操や公徳心が育まれるのか。いったい、この子たちの親は「朕」の意味を知っているのかと訝しくさえ思う。
 ここで培った愛国心と誇りを持続させるために「瑞穂の國記念小學院」の設立を構想したと籠池氏は言っているが、「國」や「學」の旧漢字を掲げた校舎の映像を見るたび、學の字を書けないこのシニアは首をかしげる。
 認可申請取り下げの報にホッとしている。【中島千絵】

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