ポーターランチガス漏出事故:加州当局、施設の運営再開を許可

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ポーターランチにあるSoCalGas社の天然ガス貯蔵施設の入り口

日系住民の不安の声

 ロサンゼルス北部ポーターランチにあるSoCalGas社の天然ガス貯蔵施設で2015年10月から4カ月近くにわたって続いたガス漏出事故をめぐり、カリフォルニア州当局は19日、新たな安全規制のもと、ガス会社に対し貯蔵施設に天然ガスの注入を再開することを許可した。【吉田純子、写真も】

 カリフォルニア州の石油や天然ガスなどのエネルギー資源の安全性を取り締まる機関「Division of Oil, Gas and Geothermal Resources(DOGGR)」と、カリフォルニア州公益事業委員会「California Public Utilities Commission(CPUC)」は24時間体制のモニタリングのほか、1日4回のガス井点検、毎日の赤外線カメラによる監視、職員の訓練強化など新たな安全規制を設け、限られた量であれば運営再開は安全であるとの見解を示した。
 CPUCによると運営再開に関しては、ロサンゼルス地区のエネルギー不足を避けるため、施設の全稼働能力の28%で運営していくという。
 3600エーカーある同施設敷地内には天然ガス貯蔵用井戸が114基ほどあり、当局によるとそのうちのおよそ60%が運営を停止している状態だという。
 1950年代に作られた貯蔵用井戸もあることから老朽化が問題視されており、漏出事故が発生した問題のガス井「SS25」も53年につくられた貯蔵施設だった。当初は安全バルブが取り付けられていたが、79年に取り外されており、以降取り付けられていなかった。
 当局は引き続きガス漏出事故の原因調査を続けていくとしている。
 またガス会社側は多くのケースで同社は加州の厳しい安全審査をクリアしていると主張している。
 ガス漏出事故は2015年10月23日に発覚し、翌16年2月18日に漏出の停止が発表されるまで、4カ月近くにわたりガスが漏出した。この事故で約10万7千トンのメタンガスが大気中に放出され、米史上最悪の環境災害となった。
 漏出事故の影響で、施設周辺の住民およそ8千世帯がホテルなどに避難し、転居生活を余儀なくされた。
 事故発生後から施設周辺の住民からは鼻血や嘔吐、ぜんそく、頭痛などの健康被害が相次いで報告され、漏出の停止が発表された後も住民からの健康被害は報告されている。
 ポーターランチに住む日系住民のひとりは今も3、4日おきに鼻血が出ると訴える。運営再開を受け、「ガス会社はいつも安全性を強調してきましたが、一連のガス漏出事故の後も敷地内のほかのガス貯蔵井戸からこれまでに数回ガス漏れが報告されてきました。ガス会社の安全性に関する主張を信じることができません」と怒りの声を上げる。
 住民代表グループのNPO「Save Porter Ranch」の代表の一人で同施設からもっとも近い住宅地に住む日比野恭子さんは、近隣住民の庭に取り付けられているメタンガスモニターが今も動いていることを問題視する。「飼っている猫の1匹に悪性リンパ腫が見つかり、もう1匹はぜんそくになりました。住民からも健康被害の報告が後を絶ちません。SS25の漏出原因は今も解明されておらず、行政による健康調査や、地質検査なども行われていない状況の中、再開というのは納得がいきません。次の漏出がいつ起こるか分からない不安の中で住民たちは生活していかないといけないのです」と話した。

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