楽しみな監督の英断

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 サッカー日本代表は、W杯予選の豪州戦で快勝すると同時に、最終戦を待たずして同組1位で本戦出場を決めた。
 昨年9月1日の第1戦で、後味の悪い逆転負けを喫し、痛恨の黒星発進。初戦を落としたチームが、予選突破した例はなく、暗いムードが漂った。その後、負けなしの5勝2分けで踏ん張ったものの、勝っても、すっきりしない勝ち方に、解任論が絶えなかった監督は毎試合、背水の陣で臨んだことだろう。
 監督の采配は、相手によってメンバーと戦略を大きく変えるのが特徴だという。戦術は、的中し左団扇の快勝があった半面、薄氷を踏むヒヤヒヤもあり、絶大な信頼とは言えず、気の毒な思いだった。
 今回の豪州戦では、若手を大抜擢。試合前には、奇策と言われたり、吉と出るか、凶と出るか、などと半信半疑に日本メディアは書き立てた。だが、蓋を開ければ無失点の完勝。手のひらを返し、褒めたたえられ、厳しいサッカーの掟をあらためて思い知った。
 豪州戦では、22歳が先制点、チーム最年少21歳が追加点を奪い、若手2人が大舞台で躍動した。試合前には「敵を自分のチームのように知り尽くしている」と、言い放った指揮官。豪語にも聞こえたが、見事な采配で周囲を黙らせた。関係者によると、選手交代のタイミングも絶妙だったという。
 若手起用の裏には、高齢のベテランにベンチを温めさせる必要があった。かつてのスター選手2人を先発から外した上、途中出場の機会すら与えず、これも英断に違いない。
 予選は、あくまでも本大会への序曲に過ぎない。来年6月に開幕するロシア大会の1次リーグの組み合わせ抽選は12月行われる。われらの日本は、こうした本選に向けた高まる機運を味わうことができる。米国でW杯は自国開催でさえも盛り上がらないため、母国が出ないのでは、関心は薄れるところだった。気の合う仲間で、スポーツ好きの日系人は、もちろん日本を応援してくれて、うれしい。勝敗予想や、勝った、負けた、引き分けだったの、とサッカー談議に花を咲かせるとともに、監督の英断を楽しみたい。【永田 潤】

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