池坊LA支部、設立60周年記念:45世家元専永宗匠招き盛大に祝う

0

池坊ロサンゼルス支部設立60周年を祝い、乾杯する家元45世専永宗匠(左)と赤松律子支部長ら参加者

 いけばなの池坊ロサンゼルス支部(赤松律子支部長)は今年設立60周年を祝い、45世家元池坊専永宗匠を招いた記念行事をこのほど、小東京で3日間にわたり盛大に開いた。家元のデモンストレーションに、花展、講習会、祝賀会を通し、全米各支部とカナダそして、日本から集結した同士との交流を図りながら、池坊の発展に寄与することを誓った。【永田潤、写真も】

約600人が目を凝らした家元(左)によるデモンストレーション

 池坊は今年555周年の節目を迎え、華道最古の歴史を誇り「いけばなの根源」と謳うのがうなずける。LAは日本国外で世界初の支部として、1957年に創設された。60年以上前に当地を初めて訪問した家元の肝いりで支部が生まれて以来、池坊は全米に約50以上の支部を設置した上に、カナダ、欧州、中近東、アジアの諸国に目を向け、世界展開を図っている。
 60周年の花展はLA支部員が65作品、日本からのゲストは派遣教授らの53作品を出展。週末の2日間で、延べ1000人の来場者が鑑賞し、表現力の豊かな作品が日米文化会館のギャラリーを彩り、支部の「還暦祝い」にまさに花を添えた。
 約600人が聴き入ったアラタニ劇場でのデモンストレーションで家元は、テーマの「美しさの源」に沿い、池坊の哲学を力説しながら、当地の花材を用いて次々に生ける模範を披露する。光が正面から作品に当たるのが最も美しいとされる他の流派に対し、池坊は斜め後ろから光が差す「陰」と「陽」を強調。芸術性の高い池坊のテクニックのみならず「いけばなは、花を『挿す』のではなく、花を『生かす』こと」を心がけることや、「心の文化」と表現する華道の心構えなどの奥義も説いた。西田永教授は、数世紀にわたり継承する池坊の正式な儀式の一つである礼式生けを惜しみなく伝授した。

花展は2日間で延べ1000人の人出で賑わい、60周年記念に花を添えた

 講習会は西田永、三浦大生、平松久美の各教授らを講師に迎え、2日間にわたり、朝から夕方まで続いた。池坊伝統の生花と立花正風体の両スタイルを、一般会員と上級会員の2クラスに分かれ行われた。受講者約120人は、本部から直々に来米した教授陣から学ぶ貴重な機会を逃すまいと真剣そのもの。その向上心は教える側に伝わり、教授らは懇切ていねいに指導し、作品を手直しするなどし、生徒の熱意に応えていた。
 祝賀晩餐会では、LA支部が本部から表彰を受け、参加者約290人が温かい拍手を送った。赤松支部長は謝辞の中で、池坊の歴史の長さについて「今年555年を迎え、大きな節目の年である」と強調。同支部設立の経緯を説明し「60年前、まだ若かった家元が『池坊のいけばなを海外に広めたい』というビジョンと熱意を持って最初に設立されたのが、このロサンゼルスである」と誇り、「その間、われわれは家元から限りない援助をもらい、こうして60周年の祝賀会を盛大に催すことができた」と謝意を表した。
本部のある京都に出向き、数多くの行事に参加する弟子たちの積極性を紹介し「いけばなの喜びと感動を分かち合った」と振り返った。祝賀会の準備にあたり新たに思ったこととして「われわれ一人ひとりは、

記念祝賀会で謝辞を述べる赤松支部長

この美しい心の文化を受け継いだものとして、次の世代に伝えていかなければならない」と責任を痛感。「ロサンゼルス支部は時代に沿って、新しい息が吹き込まれ、変わっていくと思うが、池坊の伝統を守り会員一同、力を合わせて未来に続いていく」と誓った。

「大成功に終わった」
胸を張る赤松支部長

 記念行事をすべて終え、赤松支部長は「全米から集まった他の支部の方にも喜んでもらい、家元と教授陣からは『こんなにすばらしいプログラムを作ってもらいうれしい』と言葉をもらい、支部を挙げて、みんなで頑張ったかいがあった」と述べた。「特に若い会員がよく動いてくれて、大成功に終わった」と胸を張った。

45世家元池坊専永宗匠
LA支部にエールを送る

ロサンゼルス支部に対する表彰で、家元45世池坊専永宗匠(左)から記念の盾を授与される赤松律子支部長

 家元は当地に設立記念の節目の年に訪れておりその都度、支部の成長を感じているという。このたびも多くの会員の作品を見て、さらなる発展にエールを送った。
 60年前のLA支部設立当初を「日本から遠く離れたところで、支部の方の顔も知らなければ何も知らないところで、池坊のいけばなを習っている方がこれだけ多くいらっしゃることにびっくりした」とを振り返った。「当時の人は亡くなって、随分変わってきているけど、いまだに池坊のいけばなを、こうして継いでいただいて、たいへんうれしい」と喜んだ。
 支部のいけばなに対する姿勢を「幹部がわざわざ日本まできて、勉強しようという気持ちがある。わざわざ京都に来て何日間も泊まって勉強して、そしてそれをお弟子さんたちに伝えるという気持ちがすばらしい」と高く評価した。
 弟子育成のアドバイスとして「師匠の技だけではなくて、心も伝えてもらいたい。ただ、型を教えるのではなく、いけばなにはもっと深いものがある、ということを教えてもらいたい」「花はいろんな表情があって、いけばなは昔から『足で生けよ』という言葉があり、自然の植物がどういう状態で、どういうところで生きているかを考えて生けることを教えてもらいたい」

花展に出展された家元による立花新風体の作品

 「全米とアラスカ、カナダから、わざわざ遠くから何時間もかかって飛行機に乗って来て感心する」と、60周年行事の参加者を評した。「お金を儲けるのではなく、勉強のために来て、何かを得ようとしている。得たものを少しでも弟子に教えてやろうという気持ちがあるからこそ、やってくると思う」とたたえた。
 日本と異なりLAはさまざまな人種が日本の伝統文化を継承している点について「人種によって、明るい色を好む人もあれば、そうでない人もいる。いけばなもその国によって、色がいろいろある。その国に合わせなければならない」と説いた。「今までのいけばなは、型だけだったけど、今は型だけでない。目に見えない姿を見せてほしい。見えなくても見える気持ちを持つことが大切」と持論を述べ「自然の花は美しくて、あだやか。しかし、その美しさを見いだすには人々の心がないとだめで、見いだす心を大切にしてもらいたい。花は生きているので、その生き物に対して、愛情を持って育てて、生けることが一番大事」
 

ドイザキギャラリーで開かれたいけばな展


家元の立花新風体の作品を撮影する花展の来場者

Share.

Leave A Reply