13年ぶりに壁画一新:日本人美術家、イトゥ植松由利子さん制作

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さくらガーデンズ

美術家のイトゥ植松由利子さんとアクティビティホールの壁画

 ボイルハイツのさくらガーデンズ(旧敬老引退者ホーム)ではこのほど、日本人美術家のイトゥ植松由利子さんが手がけたアクティビティホールの壁画が新しく完成した。桜の花をモチーフにさくらガーデンズのロゴマークを取り入れた、優しく華やかな作品だ。【麻生美重、写真も】
 新しい壁画の計画が始まったのは2016年の7月。2004年にできた以前の壁画が色あせていたため、新しくしようという話が出ていた。それより半年ほど前に敬老4施設の売却が決まり、その後、旧敬老引退者ホームはさくらガーデンズと名称変更された。決定を受けて、壁画一新の計画が今年4月に本決まりとなった。
 「以前の作品も由利子さんに描いてもらったので、親会社のパシフィカ内で相談し、今回もお願いしようということになった」こう語るのはさくらガーデンズの施設長、ダニエル小西さん。由利子さんが描いた3点ほどのサンプルの中から、パシフィカと運営会社ノーススターのスタッフ、由利子さんの意見を交えて今回のデザインを選択した。

1人で作業を進める由利子さん

 小西さんは
「とても温かい感じに仕上がった。居住者からもたいへん好評だ。制作期間は2、3週間。足場も組み立て、たった一人でこんなに早く完成させるのもすごい」と、感想を述べた。
 由利子さんの制作期間中、取材のため現場を訪れた。ほんの数種類の絵の具と平筆だけで、シンプルな下絵に色彩が加えられていく。滑らかにグラデーションのかかった淡い色合いの桜の花びら。「スプレーはほとんど使わない」という由利子さんの言葉に、思わず振り返って、花びらをもう一度見入った。手書きでここまで繊細に描けるものか。その技術の確かさに、ただただ感心した。
 もともとは舞台美術が専門だった由利子さん。現在は学校や公共の建物にパブリックアートを施す活動が中心だ。何が由利子さんをパブリックアートに向かわせるのだろう。
「たくさんの人の目に触れるし、喜んでもらえる。制作中も通りがかりの人と交流でき、時には差し入れをもらったりと、嬉しいことがたくさんある」
 筆を置き、こう語る由利子さん。その傍らで、水彩画クラスのためさくらガーデンズを訪れていた施設ボランティアの安田和子さんは、壁画を見上げ「きれいねぇ」とつぶやいた。

自身が描いたデザイン画を手にする由利子さん

 帽子を深くかぶり、サングラスをかけてオーバーオール姿で制作する由利子さんを遠くから眺め、ずっと男性だと思っていたという安田さん。日本人の女性が描いていると知って、驚くとともに感心した様子だった。
 永井けいこさんは施設内を散歩しながら完成を待ち望んだ一人。「とても気に入っている」と笑顔で語った。フーバー牛山さんは、制作中の由利子さんに水を差し入れするなどして応援した。あまりの完成の速さに「4、5日でできた(ような気がする)」と感想を述べた。由利子さんによると、毎日足を運んで作業の様子を見てくれる居住者もいたという。
 敬老の施設売却により、日系社会には賛否両論さまざまなニュースが飛び交っているが、新しい壁画の完成により、居住者の気持ちが少しでも晴れやかなものに変わってくることを期待する。
 由利子さんの作品はロサンゼルス市内の各所で見ることができる。
 www.yurikoart.com

居住者の永井さん(右)、牛山さん(左)と壁画の完成を喜ぶ由利子さん(中央)(写真=マリオ・レイエス)

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