お伊勢参り

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 思いがけず初のお伊勢参りとなった。
 正月三が日を夫の実家で過ごした後に東京に向かおうとすると、高知竜馬空港からの羽田行きは全便満席。窮余の策として名古屋まで飛び、その後は新幹線ということになった。
 ということで急きょ、伊勢神宮(正式名は「神宮」だそう)への参拝案が浮上。お伊勢さんへの日帰り旅が、近鉄名古屋駅から始まった。
 予期せぬことはもう一つ。安倍首相の一行も、ほぼ同じ頃に名古屋に到着。近鉄特急で伊勢に向かったのだ。仕事始めである1月4日に首相が参拝するのは慣例行事とか。
 神宮の内外には警備隊が配置され、交通規制が敷かれている間は臨時バスの停留所に参拝客の長い列が出来た。
 神宮参拝は、衣食住を含む産業の守護神を祭る外宮(げくう)から始まる。
 深い木立の中の外宮での参拝を終えると、約2・5マイル離れた内宮(ないくう)前までは、バスで移動することが出来る。
 天照大御神を祭る内宮へは、五十鈴川にかかった宇治橋を渡って大鳥居をくぐる。神聖な世界とされる杉木立の森をどこまでも歩いてゆくと、正殿がある。
 正殿は唯一神明造(しんめいづくり)という最古の建築様式で、隣接する地に20年ごとに新しく建て替えられて来た。この式年遷宮は、戦乱などで抜けるときもあったが、2013年の遷宮で62回目というから、長い歴史を実感することが出来る。
 その長い間には、各地にお伊勢参りのための講が結成されて「一生に一度の」お参りがあったほか、奉公先を抜けての参詣さえも許されるという数百万人単位でのおかげ参りも数回とか。
 そんな人々が参詣後に楽しんだのは、食べ物や珍しい産物に違いない。内宮前に軒を並べる「おはらい町」には今も古い建物が残り、赤福など昔からの甘味を提供している。また、かつての町並みを再現した「おかげ横丁」も設けられて、賑わっていた。
 羽田行きの飛行機には乗れなかったが、そのために実現した念願の参詣。災いも福に転じて過ごしたい2018年だ。今年もどうぞ宜(よろ)しく。【楠瀬明子】

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