草月流・武市教授:「モザイク」テーマに華展

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日系や日本人だけでなく来場者の中には、当地の米国人の姿もあった


生け花と俳句の融合で人々魅了

 いけばな草月流ロサンゼルス支部の武市玉春教授が4月28、29の両日、全米日系人博物館(JANM)で生け花と俳句の融合をテーマに「モザイク」と題した華道展を開催した。俳句をもとに、季節の花を使った色鮮やかな生け花が展示され、見る人の心を和ませた。【吉田純子、写真も】


俳句をもとに生けられた作品。季語の牡丹が生かされている

 武市教授は1980年に生け花を始め、以降、ロサンゼルス地区で門下生に教えてきた。同時に俳句もたしなみ、以前から生け花と俳句という日本の2大伝統文化を融合させた展示を開催したいとの思いがあったという。
 テーマは『モザイク』。「単色だけでなく、もっといろいろな色を使って表現できたら面白いのではないかと思い、『モザイク』をコンセプトに生けてもらいました」。会場にはテーマに沿った色鮮やかな季節の花を使った作品が並んだ。
 展示されたのは、生け花と俳句の融合を図った作品が11点、自由作15点、武市教授が教える禅宗寺、トーレンス、オレンジ郡の各教室から大作3点が出展された。
 生け花と俳句の融合を図った作品では、生徒たちはそれぞれ与えられた俳句をもとに花をいける。初めての試みだったため、生徒たちには難しい挑戦でもあったと武市教授は振り返る。


門下生のシュン・キノシタさんの作品「花筏(はないかだ)」。花びらが筏のようにつながっている様子を表現した

 まず花器を選ぶことから始まり、全体のデザインを決めていかなければならない。「みなさん苦労していたようですが、与えられた俳句を理解し、花を通してその世界観を表現してくれました。普通だったら1色でまとめるところを、テーマである『モザイク』を意識し、2、3色使って鮮やかにしています」。ただ花を生けるだけでなく、そこに俳句が入ることにより、作品に深みも出たと武市教授は話す。
 俳句は兵庫県姫路市に本部を置く俳句結社「田鶴(たづ)」の水田むつみ主宰をはじめ、その米国支部で武市教授が所属する「USA田鶴の会」の浜扶嗣子支部長、神奈川県平塚市を拠点に活動する「さがみね俳句会」の鈴木泰久主宰の協力を得て集められた。その俳句を文化書道米国連合会の岩見恒石会長が揮毫した。俳句には英訳も添えられ、日本語が分からない来場者にも理解できるよう工夫がなされた。


生け花と俳句を融合させた作品を観賞する来場者

 俳句の季語には、桜や牡丹、ライラック(リラ)など季節の花が選ばれ、春を感じさせる花々を使った創造性豊かな作品が並んだ。
 来場者のひとりで自身も俳句と生け花をたしなむというゾルタン・タンカ・トークスさんは「色とりどりの花が用いられ、作者の創意工夫が感じられました。俳句の英訳もあり意味を理解することができ、美しい花と俳句の世界観が心を和ませてくれました。また書道も美しかった」と話した。
 門下生のひとりアルフォンソ・メンドーサさんは「私にとって生け花は心に平静を呼び戻してくれるメンタル・ヨガのようなもの。生け花を習い始めて15年になりますが、俳句と生け花の組み合わせを見たのは今回が初めて。日本の2大伝統文化を同時に堪能できる展示でした」と話した。
 来場者の中には、日本人、日系人だけでなく、当地のアメリカ人の姿も見られ、日本文化の生け花、俳句、書道を一度に堪能できる展示を満喫していたようだった。

武市教授と自身の作品。「まさにモザイクにしてみました」との言葉通り、スコッチブルームやシンビジウムなど、同系色でも色合いが違う花々を添えて作品を仕上げた



創造性溢れる作品の数々を観賞する来場者

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