国勢調査で市民権の有無を質問することは違憲であると訴える加州のハビエア・ベセラ司法長官(中央)と、トランプ政権を相手取り、質問の削除を求める訴訟に加わると表明した(後列左から)LA郡のソリス郡参事、LA市のフューアー法務官、同市のガーセッティー市長、ストックトン市のタブ市長

 トランプ政権が今年3月26日、2020年の国勢調査で市民権の有無を尋ねる質問項目を再導入する方針を発表したことを受け、ロサンゼルス市、ロサンゼルス郡ほかカリフォルニア州の4都市が4日、市民権の有無を質問することは違憲であるとしてトランプ政権を相手取り、質問の削除を求める訴訟に加わると表明した。【吉田純子、写真も】

 市民権の保持状況を問う質問事項の再導入を巡っては、現在、全米の多くの自治体がこの方針を違憲としてトランプ政権を訴えている。
 米国憲法では、すべての州のすべての住民を集計するよう定めており、カリフォルニア州のハビエア・ベセラ司法長官は、トランプ政権が同方針を発表した翌3月27日、市民権の有無を問うことは米国憲法に違反するとして同政権を提訴。今回、訴訟にLA市、LA郡のほか、ロングビーチ、ストックトン、フレモント、オークランドの4市も加わった
 4日、ロサンゼルスを訪れたベセラ司法長官は「トランプ政権による今回の方針は、すべての人を脅かすものである」と同政権を非難した。
 国勢調査は10年おきに実施され、連邦から各自治体への予算配分や、各州の下院に割り当てられる議席数を決める際に活用される。市民権の有無に関する質問は1950年以降、設けられていない。
 カリフォルニア州は民主党を基盤とし、外国生まれの住民や不法移民が多いことで知られる。LA郡には推定350万人の不法移民が生活しているとされ、国勢調査の集計データをもとに、同郡には教育や公衆衛生、交通などに関する予算およそ4千億ドルが配分されている。
 LA市は特に移民やマイノリティが多く、同市の人口の38%が外国生まれだ。市民権の有無の質問事項を国勢調査に設けることで、不正確な人口の集計データにより、民主党は議席数が脅かされ、さらに連邦予算の配分にも影響が出ると予想される。
 同日行われた記者会見にはベセラ司法長官をはじめ、LA市のエリック・ガーセッティー市長、同市のマイク・フューアー法務官、LA郡のヒルダ・ソリス参事、ストックトン市のマイケル・タブ市長が出席。
 LA市のガーセッティー市長は、戦時中の日系人の強制収容にも触れ、「過去の過ちは繰り返してはならない」と話し、トランプ政権の反移民ともとれる同方針を批判。「国勢調査は公平で、カリフォルニア州、そしてLA市の人種の多様性を正確に反映させるものでなければならない」と訴えた。
 同市のフューアー法務官は市民権に関する質問を加えることにより、市民権を持たない人々が回答を控え、不正確な人口の集計につながると指摘した。

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