さまざまなストーリーのW杯

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 フランスとクロアチア。30カ国が敗れ去り、勝ち残った2強。世界が注目する決戦は、この日曜日。ロシアで約1カ月にわたり、熱い戦いが繰り広げられたサッカーW杯だ。熱のこもった応援が世界各地で見られ、一喜一憂するファンのさまざまなストーリーが生まれた。
 まず、われらの日本。「弱い」という「定評」を覆してくれたのは代表選手。頼もしかった。日の丸を背負った重圧をはねのけ勇敢に戦い、決勝トーナメントに駒を進めた。日本のメディアは掌をどんでん返しし、称賛の嵐。強い日本代表そして、試合後にゴミ拾いをして絶賛された日本人サポーターを誇りに思う。
 前大会覇者のドイツを破った韓国はお手柄。この番狂わせは、大会初勝利で一矢を報いたばかりか、一次リーグ敗退の危機にあったメキシコを救ったのだ。メキシコ本国では、もちろん大喜び。「韓国様様」のファンは、「お礼参り」にと韓国大使館に押し寄せ、韓国国旗を振って健闘をたたえる大騒ぎ。対応した固くて真面目そうな職員だったが、英雄扱いされ、歓喜の渦の中で一緒に満面の笑みを浮かべて記念撮影するほほえましい光景が忘れられない。大使館に大挙して押しかけるのは、猛抗議だけだと思っていた。だが、在外公館にこうした重要な役割があることも知り、サッカーの力の強さをあらためて思い知った。
 ピッチでの男たちによる熱戦のさなか、タイで少年らが洞窟に閉じ込めれたニュースが伝えられた。救助を待ったのはサッカー少年だということで、W杯主催者は決勝戦に招待する書簡を出すほど、世界が注目し無事を祈った。そして、全員救出され万々歳。ただ、レスキュー隊の1人が、命を落としたことが残念でならない。少年たちには、プロを目指して立派なサッカー選手になって、W杯に出てもらいたい。そして、洞窟から生還した少年ら13人の元気な姿を見ぬまま任務を終えた殉職隊員と母国に初勝利を捧げてもらいたい。【永田 潤】

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