懐かしの焼き米

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 朝食にホットシリアルを食べた。「オートミールとの違いは何だろう」と違いを調べた。全粒のライ麦、大麦、オート麦、小麦を平たくつぶし、乾燥させたもののようだ。食べ方はオートミールと同じく、湯でふやかし牛乳を注ぎハチミツを加えた。
 食べ始めて感じた。この見た目、舌ざわり。香りは違うが何かに似ている―幼少のころよく食べた「やっこめ」だ!
 「やっこめ」とは「焼き米」のこと。幼い耳には焼き米がやっこめと聞こえたのだろうかと思いきや、これは方言らしい。焼き米自体は日本全国にあるが、実際に見たり食した経験のある人は当地では少ないかもしれない。
 作り方は、収穫時期より少し早く刈った新米を籾(もみ)ごと水に浸し、よく炒ってローラーなどで平たくつぶし、籾殻を取り除く。
 食べ方は、焼き米を湯飲みなどに半分程度、塩を少し、それにお湯を注いで3分ほど待つだけ。乾燥していてかさばらず、長期保存が利く。そのままでも食せるが、お湯さえあればさらにおいしく食べやすい。質素な見た目の割に全粒なので栄養価が高い。
 焼き米は「今昔物語集」にも出てくる古語らしく、炊いた米を洗って干した「干し飯(ほしいい)」などとともに日本人の保存食、携行食品として受け継がれてきた。
 コメの刈り取り時期や炒り方などで色や味に違いがある。初秋に出回る焼き米は透き通るような淡い緑色でいかにも新鮮。香りが高く食感も味もさっぱりしている。
 収穫時期でも田んぼの水の取り込み口付近は水温が低いため稲穂が実りきれておらず、焼き米向きなのだとか。
 実家では秋口になると母がよく買っていた。出勤前にサラサラっと胃に流し込む母を見かけると、「よく噛んで」と子どもながらに横から口を出したものだ。お湯に長く浸せば軟らかくなり胃への負担は少ないが、麺などと同様、少し歯ごたえがある方がおいしく感じられる。
 最近では自宅用に作る人はあっても、出荷する生産者は減少しているとも聞く。
 当地であの懐かしい味を求めるのは難しいだろうから、ホットシリアルを塩味にして疑似体験するしかなさそうだ。【麻生美重】

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