移民を歓迎したいが…

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 われわれが暮らすLAから南へ2時間半ほど車を走らせ、国境を越えるとメキシコ・ティフアナに着く。日帰り観光で異国情緒を気軽に堪能できるその陰で、貧困や暴力、犯罪から逃れ、中米諸国から大挙して押し寄せた移民が今、米入国を希望し許可を待っている。10月中旬にホンジュラスを発った最初の一団に、ソーシャルメディアで知った同国と近隣国からの有志が加わり、その数は5千人近くに膨れ上がった。
 そもそもホンジュラスがどこなのか、グーグルマップで調べてみた。北中米と南米両大陸を結び、日本三景の一つ「天橋立」のような細長い陸の上にあった。米国境までの距離はなんとアメリカ大陸横断に相当する3千マイル。移民の大移動は、徒歩とヒッチハイクも繰り返したというから驚きだ。
 参加者は、出身地域や国は違っても、貧苦などに耐えた境遇、祖国を去らざるを得なかった無念、新天地を求め抱いた志、話す言葉も同じで、心を通わせており、「キャラバン」と呼ばれることが頷ける。テレビで見る限り10代から30代と若く、中には幼児を連れた母親も見られる。道中で幾多の苦境に遭いながらも乗り越え、たくましく新天地を目指す姿を見て心を打たれ、応援せずにはいられなくなった。
 ようやく国境の町に着いた時の衣服はみな汚れボロボロ。「お疲れさま。ようこそ、アメリカへ」と、言いたいところだが、歓迎はされない。合法的な入国手続きを踏まない限り、不法には変わりないためいったん、収容所に入り共同生活を送っている。不安そうな大人たちの顔つきとは裏腹に、無邪気に遊ぶ子どもたちの笑顔を見ると、入国させてあげて、と願いたくなる。
 アメリカ第一主義を唱える大統領は、移民に寛容なかつての政策とは真逆で、彼らを「侵略者」などと表現し、ちょっぴり残念。たとえ入国できたとしても落ち着くまでは支援を必要とし、それには多額の税金が使われまた、市民の職を奪いかねない。日本の国会は外国人労働者の受け入れ拡大をめぐって揉めているが、移民大国に住む身として、母国には慎重に進めてもらいたい。【永田 潤】

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