先日なんとなくレストランでの和牛ステーキの話になった。残念ながら日本を出る頃はまだ和牛は一般的ではなく、もちろんビーフのステーキなんぞは見たこともなかった。ステーキといえば鯨だったし。今ではこちらでも和牛を食することはできるが、目の玉が飛び出るほどの値段を払う気にはならない。
 こちらに来た頃はよくTボーンステーキを食べていたなぁ~と、その時思った。家族3人で数ドルしかかからなかったし。
 で、何でステーキの話を書いたかというと、そのころ「ニンニクの醤油漬け」の話を読むか聞くかしたのだと思う。漬物として、またステーキなどの添え物にもいいということで、「どんなものかな」と作ってみることにした次第。
 もちろん漬けた後の醤油はもったいないので肉にかけたらうまかった。ただ、なんとなく一本調子で今一何かが足りないかなと感じた。多分まだ練れていなかったのだろう。それで、これなら旨くなるだろうと、ニンニクに刻み昆布、生姜のスライス、青唐辛子を適当に足して醤油につけたビンをいくつか作っておいた。
 一度にたくさん使う訳じゃないから、ちょこちょこ使ってて数カ月たったころ、いざ使おうとしたら醤油がアミノ酸臭くなっていた。捨てるのももったいないからそのまま置いておいたら忘れてしまってた。
 その後しばらくして醤油漬けのニンニクがほしくなり、ビンを引っ張り出してみたらアミノ酸のにおいはなく、味がこなれていた。多分醤油がそのまま醸造され続けていたのだろう。昆布や生姜からもいい味が出ていた。
 僕の悪い癖で、調子に乗ってさらに作り足しておいた。ある程度時間が経ったら醤油を濾してニンニクや昆布と別に保存。それからも2、3年に一度ほど作っていたが気がついたら一番古いものは30年以上たっていた。
 もうあまり残ってなくて、ちょっと濃くなっているがこれはうまいよ。気の長い人ならば試してみるといい。
 漬かったニンニクや昆布は結構塩辛いが、カレーや焼き飯の添え物にもいいし、食べた後のニンニク臭さもないし(多分)。
 最初はニンニクの漬物が主体だったが、今では醤油のほうがメインになっている。【徳永憲治】

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