マスタークラスに登壇した河瀬直美監督

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Director Naomi Kawase at the 2019 JAPAN HOUSE Los Angeles “Short Shorts Film Festival in Hollywood” master class with Naomi Kawase held on January 17, 2019, in Los Angeles, California. (Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles)

 1997年、『萌の朱雀』で、第50回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少(27歳)で受賞した河瀬直美監督。その後も精力的に映画製作を続け、2007年には『殯の森』で、第60回同映画祭グランプリを受賞。

映画に関わって今年で30年という河瀬監督。「平成の最後の10年は、それ以前の20年と同じくらいの量(の作品)を作ってきた」。その製作ペースを保たせるもの、彼女を突き動かすものは何か。監督は自身のクリエーティビティーの源を「ハングリー・渇望」と表現する。
 「作家は常にハングリーでいなければならない」。この言葉は、映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグ監督から河瀬監督へ発せられたもの。映画界で世界的に成功を収めたスピルバーグ監督さえも、自分自身にハングリーでいることを強いている。「キャリアを重ねていくと(映画製作しやすい)環境ができあがる。けれども作家は、その中にあってもハングリーでいることが重要」と河瀬監督はいう。
 短編映画を製作する理由を「簡単なことではないから」とし、挑む姿勢を見せる。「 2時間の長編映画でも人の人生を語るのは難しい。それを20分で描くのであれば、その表現方法は観客の想像力を刺激するような内容でなければいけない。埋もれている話を掘り起こしていく探究心が必要」と説く。映像として描かれていない部分にも登場人物らの人生が垣間見える、想像できる。監督は短編映画を「俳句」に例え、「想像する余地がある」と語る。
 ショート・ショート・フィルム・フェスティバル in ハリウッドの前に行われたマスタークラスでは2本の河瀬作品が上映された。EXILE HIROの率いるグループ「EXILE TRIBE」とSSFFのコラボレーション作品「パラレル・ワールド」(2017)、そして服飾ブランド 「MiuMiu」とのコラボレーション作品「SEED」(2016)。
 「人類の明るい未来を作りたい。この世界の美しさを映像を通して子どもたちに伝えていきたい」。最後に監督は自身の夢を語った。
 「ハングリーでいることはとても難しい」としながらも「渇望」を持続させチャレンジし続ける河瀬監督。日本が誇る唯一無二の女性監督は、これからどんな世界をわれわれに見せてくれるだろうか。【麻生美重】

かわせ・なおみ
1969年5月30日生まれ。奈良県出身、在住。カンヌの新人監督賞を皮切りに、 各地の国際映画祭で受賞歴をもつ。20年東京オリンピック公式記録映画の監督にも就任している。

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