立春に

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 納豆を混ぜる時、いつも思っていた。よく混ぜろというが、一体どれくらいかき混ぜればいいのかと。100回混ぜるとよいとか、納豆は混ぜれば混ぜる程おいしくなると北大路魯山人が言ったとか…先日、記事が伝えていた。
 コーヒーミルのような形状の、その名も「魯山人納豆鉢」という納豆をかき混ぜるマシンがあるらしい。ハンドルを回すと倍速で納豆が攪拌され、醤油を入れるタイミングや完成のタイミングに自動でふたが開き教えてくれるという。便利なものがあるのだと感心する。でも、後始末、あのネバネバを洗うのが大変じゃないのだろうか?
 そのおいしさの回数を検証してみた人によれば、400回でうま味成分がピークになるのだと。そこで400回かき混ぜてみた。だいたい2分くらいかかり、けっこうシンドイものだ。タレは最後に入れるべしとも…。まず疑問は解決した。関西ではあまり納豆を食べる習慣はなかったから、その味が分かるようになったのは、健康に気を配らざるを得なくなった最近のことだ。
 今年は4日が立春、前日3日が節分だった。何年か前から当地の日系スーパーにも炒り大豆と丸々1本の太巻ずしが並ぶようになった。これを恵方巻といいだしたのは最近のこと。こちらは関西が発祥である。
 恵方とは、その年の福徳を司る歳徳神(としとくじん、年神様)のいる方角で、その方角に向かって事を行えば何事も吉とされる。今年は東北東。豆まきの後、恵方に向かって黙って一本丸ごとの太巻を食すると幸運が訪れるという。
 大正末期に大阪の花街で節分の時期にお新香を巻いたのり巻きを恵方に向かって食べ、縁起を担いでいたのが起源だという説があり、1980年代前半に関西地方のコンビニやスーパーで節分の時期の販促商品として巻き寿司が売り出されたことから広まったらしい。
 一人暮らしだが、年中行事だ、今でも年の数だけ(数日かけて)豆を食べ、「福は内」と(小さな声で)叫びながら、豆を部屋にまいたりはする。何カ月も後にクローゼットの隅から小さな豆がひょっこりと出てきたりするのである。【中島千絵】

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