ハア、ドッコイショ

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 ラグナビーチに近いアリソ・ビエホの丘の天辺に、バシリカ建築の立派な建物が連なっている。初めて見た人は、その大規模な建築物の色合いといい、建築スタイルといい非の打ち所のない立派さに驚く。威厳がある。一体何だろうと思うはずだ。
 周囲は丘また丘が連なり、ビーチ特有の澄んだ青空と自然の緑が目に染みる。こんな素晴らしい環境に、よくぞこれ程の建築物を建てたものだと感心する。誰がこんな所にこれ程のものを建てようと考えたのか、その発想力、実行力、財力に感嘆する。そして、これが実は日本のS大学の校舎だと知り、二度驚く。
 S大学は、このあたり一体がまだ森林で、アリソ・ビエホ市が出来たばかりの頃に、既にこの地の購入を働きかけた。先見の明があったということだろう。最初は周りの比較的豊かな住宅地と、調和して行けるのか、一日本人として、密かに心配した。しかし立派な建築物は、周囲の不動産価値を上げると、土地の人々に歓待され、今では周りの環境にしっくりと、溶け込んでいる。
 ここで、風薫る5月に毎年、広いキャンパスを開放し、インターナショナルデーが開催される。国際色豊かなテントが並び、民族舞踊、音楽、食べ物などの紹介をする一大イベントだ。たくさんの人が訪れる。交通整理をするのも、裏方を務めるのも全て学生だ。いろいろな人種の学生たちが片言の日本語を話すのが嬉しい。
 ここに素晴らしいコンサートホールがあり、所属する合唱団は毎年、日本の歌、数曲を披露する。一流の演奏家のみ立てるステージで、素人が歌える幸運はこの日しかない。素晴らしい音響効果はLAのディズニーホールの音響を手がけた豊田泰久氏の手になる。
 ここで思いっ切り、ハア、ドッコイショと歌う。佐渡おけさ、南部牛追い歌、ソーラン節、竹田の子守唄、会津磐梯山が会場に響く。アメリカで、日本の大学のコンサートホールで日本の心を歌う。熱い拍手を聴衆から受けながら、こんな日が来たことを心から喜んだ。【萩野千鶴子】

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