息を吹き返した「オール・キャンプス・リユニオン」

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 4月も終りだというのに、雨交じりの雪が一日中降り続いた土曜日。
 「まるでシカゴみたいな天気だね」誰かの冗談を思い出しながら葉にも蕾にも雪を被って、それでも兵士のように直立している庭のチューリップを時々眺めて一日過ごしたが、一夜明けると雪はたちまち春の日差しに溶け、空は抜けるほど青く広がっていた。
 この日市内のコミュニティー・センターでは第7回目の「オール・キャンプス・リユニオン」が開かれた。
 初回には200人を優に超える参加者があったが年々減少、昨年は六十余人。
 第二次世界大戦中に強制的に10カ所の収容所に抑留された日系人の多くが年々亡くなっていく中で、収容所の日々の思い出を分かち合える人々も減ってくる。
 もうそろそろこの催しも姿を消すのかと思われたが、米国の歴史に暗い影を落とす出来事は、このまま葬り去るべきではなく、次世代に語り継ぎ、同じ危機に曝されるかもしれない日系以外のコミュニティーにも警鐘を鳴らす行事として継続されるべきだとして、日系諸団体の協力で息を吹き返し参加者も100人を超えた。
 日系歴史資料室で保管されている貴重な古いフィルムや三、四十年前から撮りためられた収容所体験者の経験談ビデオのほか、80歳半ばのGさんは、医療設備の不十分な収容所内の病院で出産した母親が、生まれたばかりの赤子と自分たち幼い子供たちを残して死んだ話を、言葉を詰まらせながら語り参加者の涙を誘った。
 シニア・デイケアに通う97歳のMさんは、普段はニコニコ穏やかな笑顔を見せているが、戦争中の話になると人が変わったように声を荒げてテーブルを叩いて怒鳴り始める。事情を知らない人々は、認知症の症状の一つと見ていたようだが、アメリカ市民である彼を抑留した政府に対する怒りが75年を経た今もMさんの胸の中に渦巻いていることを、この日彼の娘さんの話から学んだ。
 こうした体験者の生の声を聴くことも、年毎に少なくなってくるだろうが、来年もぜひ参加したいものである。【川口加代子】

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