喜びの選択

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 冷蔵庫のドアに小さなカレンダーをマグネットで付けている。
 ふと気が付くと6月も終りだというのにカレンダーは5月のままである。
 忙しさにまぎれて捲るのを忘れていたのか、大して重宝していたわけでもなかったらしい。5月のページを破って捨てようとして、何気なく裏を見ると
Busy is a choice
Stress is a choice
Joy is a choice
Choose well
というプリントが目についた。
 なるほど、忙しさが自分の選択だなどとは思わなかったが、そういわれてみるとそんな気もする。
 いつ出会っても「忙しい」を連発して秒刻みで仕事をこなしている人もいるし、そんな人はなるほどストレスが洋服を着ているような印象をうける。
 しかし当人にとっては、案外忙しさとそこから生まれるストレスがエネルギーとなり、次々と目標をクリアしてゆくことで充実感、達成感を楽しんでいるのかもしれない。
 それに比べると私の忙しさなどは要領の悪さが原因だから、選択したつもりは無いのにストレスがたまる。
 忙しさも探しているわけでもないのに複数の仕事が半日一日の差の締め切りで次々やってくることがある。
 そんな仕事は受けなければ良い訳で横を向いていれば素通りしていくのかも知れないが、小さな職場で限られた数のスタッフしか居ないのだから素通りなんかしてくれない。仕事はこちらが手を出すまでじっと待っている。結局自分が手を出すのだからやはり自分で忙しさを選んでいることになるのだろうか。
 喜びが自分の選択だというのはわかる気がする。
 何をしてもらっても喜べない人はいるもので、感謝の気持ちにも税金が掛かると思っているのかもしれない。私などはメガの付くような幸せに巡り合うことはないので、小さなことでも単純にうれしい。
 幼稚園の頃から知っている子供がいつの間にか大学生になり、「私が今日あるのはあなたとの出会いのおかげです」などという、ちょっと気取った手紙などもらうとホロリとして、舞い上がって喜んでしまう。
 先にビルのドアを開けた人が、後から入る私のためにドアを押さえて待っていてくれる。そんな時の感謝も喜びである。
 喜びはストレスよりも簡単に選べそうだ。【川口加代子】

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